ヴィム・ヴェンダース「アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家」田中泯登壇の3D先行上映会開催
2024年5月29日 12:00
戦後ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーの生涯と、その現在をヴィム・ヴェンダース監督が映したドキュメンタリー作品「アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家」の公開に先駆け、6月6日、田中泯が登壇する3D先行上映会の開催が決定。田中からのコメントが披露された。
アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する、戦後ドイツを代表する芸術家。1999年、高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞。ヴェンダース監督と同じ、1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。1993年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。
制作期間には2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」とヴェンダース監督は語る。キャストには、アンゼルム・キーファー本人の他、自身の青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の孫甥、アントン・ヴェンダースが務めている。6月21日から、TOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開。
「見て、感じて、思った」
こころは細胞となってカラダを突き動かす。誰しもがだ。一生の運動一生の表現。誰しもが完全な個人として世界に現れる。その時の世界という環境を刻印されて生命を始める。誰しもがだ。
一九四五年、アンゼルム・キーファーとヴィム・ヴェンダースは戦後0年の荒れ果てた国ドイツに生まれた。この情報だけで、こころ動かす幾多の基調低音が聞こえてくる。
キーファーさんの夢想が好きだ。思想と称ぶ人が多いが、何が違う。ヴェンダース監督は、広島・長崎の原爆投下のニュースが世界を席捲したその時に生まれた。
映画の中でB29の低音が聴こえたのは僕だけだったのか? アンゼルムの創造物は常に傷ついた物と事に満ちている。日本の戦後0年に生まれた僕のこころの奥底にもムカムカはある。子供の頃からずっとだ。
アンゼルム・キーファーとは、年齢から追放された記憶の創造者の事だ。
トークイベント付き3D先行上映会は、ヴェンダース監督作への出演、そして、アンゼルム・キーファー本人とも交流のある田中泯が、映画を通じてヴェンダース監督についての印象や、フランス・バルジャックにあるキーファーのアトリエを訪ね感じたことなどを語る予定だ。映画評論家の森直人氏も登壇する。
3Dでの上映は、ヴェンダース監督自身が強く熱望している上映方法であり、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した形となっている。また、来場者には“動く”3Dポストカードを特典として配布予定。
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