ペルー映画史上、最も観られたドキュメンタリー 市民権と差別をめぐる闘いを紐解く「革命する大地」監督インタビュー
2024年4月27日 08:00

南米ペルーの市民権と差別をめぐる50年にわたる闘いを描き、ペルー史上最大となる9万人以上の観客動員数を記録したドキュメンタリー「革命する大地」(公開中)。本作はペルー革命から、毀誉褒貶著しいベラスコ政権の瓦解まで社会の変化をとらえた映画の引用、インタビューやアーカイブ映像などを通して、植民地時代が残した傷跡、そして革命の記憶を再構築するもの。このほどゴンサロ・ベナベンテ・セコ監督のインタビューが公開された。
 (C)2019 Autocinema
(C)2019 Autocinemaこれまでも、100の劇場で上映された作品もありましたが、観客者数は9000人でした。「革命する大地」は20の劇場での上映だったにも関わらず、9万人を動員しました。通常より小さい劇場での上映にも関わらず、1週目の上映よりも2、3週目の方が多くの観客者が訪れるというとても珍しいことが起きました。時には、座席がなく、映画を観るために別の街へ行く人もいました。実際は映画そのものよりも、長い間封じられたテーマが、多くの人にとって、重要で価値のある出来事なのです。それが多くのペルー人とつながりました。
そのことを学校で教わることはありません。我々の歴史の一部であるにも関わらず、意図的に伏せられているかのようです。有効的ではなかったとだけ言われ、革命が伴った社会的変化については触れられません。アメリカの奴隷制度について話す時に、米の値下げだけが語られることと同じです。1980年から2000年に経験した武力闘争についても話されません。ペルーには特定の話題について話すことを妨げる一連の法的機構があります。武力闘争に関しては、覇権主義とは異なる言説を持つ者を迫害するためのテロリズム擁護禁止法があります。ペルーにはterruqueoと呼ばれている政治的・社会的な慣行があり、どんな市民の抗議活動でもテロリズムと関連づけることができます。あらゆる革新的または社会的政策は迫害されテロリズムだ とされます。ベラスコや農地改革と関係するものは、武力闘争以前の歴史的経過であってもテロとされました。実際に当初のテロ攻撃の一つがベラスコの墓のダイナマイト爆破でした。
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(C)2019 Autocinemaそれらの映画の映像は大きな歴史的空白を埋めてくれます。ほんの少ししか流れない映画もありますが、どの作品もこの物語を伝えるのに役立っています。多くはタイトルだけを知っていたので、この映画を制作する過程で見つけました。
はい、本作ではそのことには触れていませんが、20世紀のペルー映画はわずか10%しか残っていません。90%はもう存在しません。保存状況が良くなかったものもありますが、破壊されたものもあります。例えば、90年代に特定の反社会組織とのつながりがあったと悪名高かったコレクター宅の火事がありました。中には、ロシアからDVDが届くまでの30年間行方不明だったアルマンド・ロブレス・ゴドイ監督の「ジャングルに星はない」(1967年)があります。また、もう見つからないと思われていましたが、本作制作時にベータカムで発見されたフェデリコ・ガルシア監督の映画などがあります。しかし、農地改革前のゴドイ監督の最初の作品“Ganarás el pan”(1965年)は行方不明のままです。
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