片渕須直監督、「リンダはチキンがたべたい!」は「僕たちを自由にしてくれる映画」と独創性を評価 来日した監督陣と対談
2024年4月13日 11:00

アヌシー国際アニメーション映画祭2023の最高賞にあたるクリスタル賞を受賞した「リンダはチキンがたべたい!」が公開された。
気鋭の映画作家キアラ・マルタが私生活のパートナーでもあるアニメーション作家セバスチャン・ローデンバック(「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」)とともに共同監督した本作は、8歳の少女リンダがかつて一緒に暮らしていた父が作ってくれたチキン料理を食べたいと懇願する。街じゅうがストライキで、どんな店も閉まっているなか、母のポレットは思い出の味を再現しようと奮闘する……という物語を、実写映画的な演出と、カラフルな色彩設計、ワイルドで大胆な描線のアニメーションで表現する。
このほど、両監督と交流のある片渕須直監督(「この世界の片隅に」)が対談した。
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma一目で見て誰かがわかるよう、1人1色と設定しました。実は、それは絵をきちんと描き込む必要をなくすところからの発想なのです。アニメーターにも、キャラクターの絵を正確に書く必要はない、と指示しました。実写の俳優もシーンによって全然違う顔をしたり、出演する作品によってあの同じ俳優だとは思えないような顔をします。しかし、アニメーションはいつも同じキャラクターが、同じような顔に固定されてしまう。ですから、この作品ではそんな制約を取り払ってみました。また、群衆シーンになった時に、様々な色があると楽しく、カーニバルのような、紙吹雪を飛ばすような明るい雰囲気も出せると思ったのです。
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma例えば、本編の中でヘリコプターが飛んで、俯瞰で団地を見下ろし、カメラが下がっていくと、霧で何も見えなくなるカットがあります。あれは制作が始まって、もう4分の3ぐらい全体ができていた時に、キアラが現場にやってきて、「こういうカットがあったらいいんじゃない?」と提案したものです。もともと絵コンテにも描かれていなかった、そういうアイディアも取り入れられました。
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinémaフランスにはゴブランという国立のアニメーション学校があって、世界各国からの学生が集まっています。そこで、何人かのグループにわかれて作品を作っているんですが、コロナ禍では、学生たちはそれぞれの国に帰ってリモートで制作しました。リモートを使うのなら、完成作の講評も、フランスの講師だけではなく、外国の人にもしてもらおうとなって、僕も講評したことがあります。国境を越えていろんなことが近くなっています。だからこそ、この「リンダはチキンがたべたい!」が日本でも公開されるのでしょう。こういった世界のアニメーションが見られる機会が増えるといいなと思っています。
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinémaひとつ残念なことは、ゴブランで日本人の学生に出会えないことです。日本人は若い人も年を取った人も、世界のいろんなものに興味を持つべきだと思います。そうやって視野を広げることが、その人を自由にすると思うんです。「リンダはチキンがたべたい!」は、僕たちを自由にしてくれる映画です。日本のお客さんにもこんな面白いものがあるんだって、知ってほしいですね。
(C)2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma
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