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【インタビュー】仲里依紗×「NEMOPHILA」mayu&むらたたむが語り合う育児論 「映画おしりたんてい」舞台裏も

2024年3月14日 19:00

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話題は多岐に及んだ(左から)むらたたむ、仲里依紗、mayu
話題は多岐に及んだ(左から)むらたたむ、仲里依紗、mayu

累計発行部数1000万部超を誇る児童書シリーズ「おしりたんてい」の劇場長編アニメーション第2弾「映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ」が、3月20日に劇場公開。巷を騒がす世界規模の難事件に立ち向かうおしりたんていとかつての相棒スイセンのエピソードが描かれる。

本作の重要キャラクターであるスイセン役を託されたのは、シリーズファンという仲里依紗。キャンペーン・ソングを手掛けた「NEMOPHILA」のmayu(ボーカル)、むらたたむ(ドラム)と共に、作品の舞台裏や仕事と育児の両立について、語り合った。(取材・文/SYO)


――まずは「おしりたんてい」シリーズ全体について伺わせてください。仲里依紗さんは元々シリーズファンと伺いました。
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仲「作品を見ながら家族や子どもとコミュニケーションを取れるところが大きな魅力です。絵本でもそうですが、謎解きや迷路が途中で入ってくる構成になっていて、子どもの集中力をすごくわかって作っている作品だと感じます。どうしてもストーリーを追っていくだけだと、小さい子どもは飽きちゃったり集中力がもたなかったりするのですが、『おしりたんてい』は絶妙なタイミングでゲームが入ってくるんです。今回の劇場版にもそうした要素があるので、ご家族で楽しんでいただきたいです」

たむ「子どもの大好きな“おしり”がキャラクターというのがいいですよね。その時点でワーッと子どもが喜んでくれますから。そして、おしりくんはフォルムこそおしりですが、とてもスマートでカッコいい存在。子どもの“好き”と“こうなりたい”が合体した魅力的なキャラクターだと思います」

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mayu「私は元々『おしりたんてい』の大人も子どもも楽しめる部分に魅力を感じていましたが、映画を見てより明確になりました。私の子どもはまだ小さいのですが、いずれこういうことが伝わってほしいと思いながらもなかなか言葉にしづらいものが、アニメーションを通してスッと入ってくる印象を受けました。例えば本作ではシリアスな部分も踏み込んで描かれていて、こんなことまで感じさせられるのか!と驚かされました。私もプレイヤーとして、音楽をやっていてもこう感じることがあるよなと自分を重ねながら楽しめましたし、気づかされる点も多くありました」


――本作には「本物/偽物」というテーマがありますよね。自分も3歳の娘がいるので、審美眼をどう養っていくか、そのサポートは日々考えるところです。
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mayu「私の子どもはまだ1歳で、いずれどう伝えるかは自分自身がいままさに勉強中ですが、“親が背中で語る”ことが大切だとは考えています。自分のやっているこの音楽が本物で、本気でやっていることをちゃんと見せれば、きっと子どもは感じ取ってくれるはず。なお一層その意識をもって音楽に取り組みたいと改めて感じられました」

たむ「mayuが言ったようにクリエイティブな部分に対する共感もありますし、今回は“相棒”や“愛”という要素も入っていますよね。謎解きはもちろんですが、“こういう気持ちなんじゃないかな”と考察できる要素もあって、感慨深かったです」

仲「台本をいただいたときに“おしりたんていの映画!?”とまずびっくりして、大人も子どもも感動できる内容で、深く読み込めたことにもびっくりしました。子どもが成長していくなかで卒業式や入学式、クラス替えや引っ越し等々、様々な出会いや別れを経験するかと思いますが、そうした要素も入っていて、おしりくんの新旧の相棒がチームとなって助け合いながら謎を解いていく“絆”の物語としても見ごたえがありました」

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――仲さんは本作で、スイセンの10年前と現在を演じ分けています。どのように構築されていきましたか?

仲「人が変わったように違いますよね。昔はあんなにピュアで、おしりくんの前で可愛らしく笑っていた子があんなにクールになるとは。むしろおしりくんを引っ張っていく存在になっていて、台本を読んだ当初は驚きました。物語を見ていくと、彼女の強がりや我慢してそう振る舞っていったこと、何がきっかけでそうせざるを得なくなってしまったかがわかるのですが、ピュアな時代の声の出し方には苦労しました。私は地声がハスキーな方なのですが、思っていたよりもっと高い声を出さないといけなくて。監督から『もっと可愛く』と演出を受けて、私の可愛いの全力を超えられるように、一生懸命声を高くしました。最初に苦労したぶん、クールな方はスムーズに出来たかと思います」

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――mayuさんとたむさんには、キャンペーン・ソング「ODYSSEY」の制作秘話を伺えればと思います。

mayu「この曲は今井了介さんが作詞・作曲を手掛けて下さいました。最初は壮大なラブソングとして作っていたそうですが、歌詞を読み聞きして自分が歌うとなったときに『いまの自分に置き換えると親子愛として読み取れる』とお話しして、『じゃあテーマを愛にしよう』というのが、曲が出来上がっていくはじまりでした。歌入れの際は私一人で臨んだのですが、“もっと身体を柔らかくして歌いたい”“もっと温かい音を出したい”と思いながらも緊張してうまく体を動かせなかったのを今井さんがほぐして下さったことを覚えています。自分はパワーボーカルなので今まであまりバラードを歌う経験がなく、どうやったら自分たちらしく、新しい引き出しを作ることができるかというのは工夫したところです。今井さんのアシストを経て歌入れが出来て、みんなが楽器を入れてくれた結果すごくNEMOPHILAらしいサウンドになりました」

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たむ「自分の思う“愛”を想像しながらドラムを叩く経験は初めてでした。これまではテクニカルなスピードが速いものが多かったため、今回のようなどっしりしたバラードは難しかったのですが、どう挑戦したら良いグルーブを生み出せるかを考えながらレコーディングしたのはすごく楽しかったです」

――キャンペーン・ソングとして映像と組み合わさった際のお気持ちは、いかがでしたか?

mayu「歌詞の中に『死ぬほどに愛したなんて想いなどあるはずもない』という部分があるのですが、予告編では『死ぬ』に合わせておしりくんがぶわーって必殺技を出すんです。その部分にすごくグッと来て、こんなマッチの仕方はこれしかない!ぴったり!とメンバーで盛り上がりました」

たむ「本当に使われてる!しかもこの部分で!というのがすごく印象的でした」

仲「おしりたんていの世界観が壮大なものになって、本当に音楽の力はすごいな、なくてはならないものだなと感じました。スイセンを助けるという相乗効果もあり、おしりくんの“しつれい”もよりたくさん出たんじゃないかと思います(笑)」


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――ひょっとしたら、本作が初めての“親子映画”になるご家族もいるかもしれませんね。

mayu「私が個人的に好きなシーンと絡めてお話しすると、過去のパートでおしりくんとスイセンが同時に未解決事件の真相に気づくところがありますよね。こうしたフィーリングや波長が相棒同士には必要なんだ、ということを知ってほしいです。言葉で伝えようとするとなかなか難しいですが、とても素敵なつながりを感じていただきたいです」

たむ「私は試写会に3歳の娘と伺ったのですが、先ほど仲さんがおっしゃったように合間合間に子どもが注目できる場面が出てきて、娘もずっと集中して観ていられました。個人的なグッドポイントは、途中で石像が登場するくだりです。親子で一緒に楽しむことができたので、初めてでも安心して映画館に来ていただきたいです」

仲「映画館デビューって、親にとっても思い入れのある作品になると思います。今回の『おしりたんてい』は大人も楽しめて、考えさせられる内容になっているのでぜひ選んでください!と伝えたいです。推理やゲーム、楽しかったり笑えたり、立ち止まって考える時間も全部入っていますから。私自身も初めての親子映画はすごく心配で、“すぐ出られるように端っこの席にしよう”とか“最後まで集中出来るかな”と考えてしまいましたが、今回は絶対大丈夫。むしろお母さんお父さんが集中して『ちょっと静かにして』と言いたくなるくらいの内容になっているので、ぜひ親子で楽しんでください!」

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――御三方それぞれの育児と表現の両立についても、お話を伺わせてください。

mayu「私、仲さんがリスペクトママなんです。ギャルしながらママが理想的で、大好きです!」

仲「私ですか!? ありがとうございます、嬉しいです!」

mayu「お母さんになったらママでいなきゃいけないのかなと思っていたときもあったのですが、仲さんの姿を見て我が道をいくのが一番大切だと思えました。自分の家は自分の家ですし、先輩ママを見習ってウチも明るくぶっ飛んでいきたいです。ご質問いただいたように両立は難しいし時間が足りないと思うことは多いですが、“今はママの顔”というように楽しみながら切り替えていけたらと思います」

仲「ママが笑っている家はすごく幸せだと思います。子どもは“どうやってママを笑わせようか”と考えているものですし、怒ったり『ダメでしょ』と言うことはあっても、すぐ切り替えて笑うようには心がけています。笑いながら怒るだと怖いので、そうならないように気を付けながら(笑)。自分からコミュニケーションを取っていかないと会話も生まれないから、大変さも楽しんでいます! でも、たむさんはお子さんがおふたりですよね。ウチは1人なので、すごいなと思っています」

たむ「いえいえ! 私も、ママになったからもう自分の人生じゃない、というのはおかしいなとは思います。私はドラマーの自分とママの自分がお互いに助け合っていると感じていて。どちらかだけになると苦しい、つらいと思ってしまいますが、切り替えられることでそうならずに済んでいます。あと、ママになると諦めがよくなりませんか? 昨日もお風呂の中に身体を洗う用のスポンジを入れられちゃったのですが“まぁ、いっか”と思えて。おおらかになったなとは感じます」

mayu「たむさんはメタルバンド界隈で妊娠・出産の先陣を切ってくれたところがあり、私からしたら“いけいけ!”という感じでした。妊娠・出産・育児を経験したことで、これまで以上に演奏しているとき、たむさんが歌を聞いてくれるようになったと感じます。音にも出るんだというのは、チームとして組んでいて大きな発見でした」

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