新映画レーベル「New Counter Films」が誕生! 二ノ宮隆太郎監督の新作「若武者」が第1弾作品に
2024年3月5日 14:00

カンヌ国際映画祭で上映された光石研の主演映画「逃げきれた夢」や、石井岳龍監督、横浜聡子監督らによるオムニバス映画「almost people」などを手掛ける映画制作プロダクション「コギトワークス」の関友彦氏、鈴木徳至氏が代表を務める新プロジェクト「New Counter Films」レーベル発表会が3月4日、都内で行われ、二ノ宮隆太郎監督の新作「若武者」が第1弾作品として上映されることが明らかになった。
今回設立される新映画レーベル「New Counter Films(ニューカウンターフィルムズ)」(以下NCF)は、大規模商業映画とインディーズ映画の二極化が進み、邦画業界のカルチャーを育ててきた中規模映画が生まれにくい環境に風穴を開けるべく、邦画業界における新しいビジネスモデルの構築、それによって作品性・作家性を重視した邦画を国内外に発表することを目的にスタート。「誰もが観たい映画でなく、誰かが観たい映画をつくる」をミッションに掲げ、エッジのある企画を手掛けていくとしている。
本レーベルで製作された映画は、コギトワークス独自の配給網を活用した国内約60館のミニシアターへの配給。さらに、セールスカンパニーを介さずに、海外のアートハウスへも直接配給を実施。世界17都市のミニシアターへの配給を計画しているという。さらに映画館のない地域の観客や、さまざまな事情により劇場に足を運べない観客のために、劇場公開と同時にU-NEXTでの配信(ただし鑑賞券と同額での提供)も同時に実施する。

この施策について関代表は「キャッチコピーにもある『誰もが観たい映画でなく、誰かが観たい』を旗印に掲げてつくっていきます。ただし作家至上主義ではなく、プロデュースワークとしてレーベルのブランディングを進めていく。監督がやりたいことをやれる場所ではなく、プロデューサーが監督のやりたいことを最大限に引き出せる場所に。そして映画をつくるだけにとどまらず、つくったものをわれわれが直接お客さまに届ける場所にしたいと思った」と思いを語る。
また本レーベルでは“作り手ファースト”の体制を構築するのも特徴。従来の製作委員会方式ではなく、単独製作方式を採用。さらに独自の配給システム・海外セールスによって配給手数料を撤廃。収益の配分構造を抜本的に見直すことで、主要な監督・スタッフ・キャストなどに還元される報酬システムを構築。さらに将来的には独自のファンドスキームの組成を予定しているという。
そんなNCFの第一弾作品となるのは、前作の「逃げきれた夢」が北野武監督の「首」、是枝裕和監督の「怪物」とともに、日本の長編映画として第76回カンヌ国際映画祭に正式出品された二ノ宮監督の新作「若武者」だ。登場人物は工場勤務の渉(坂東龍汰)、居酒屋で働く英治(髙橋里恩)、介護施設職員の光則(清水尚弥)。互いに幼なじみであり、24歳の若者たちである彼らの危うくも滑稽な関係性が、やがて暴力によって破綻に向かっていくさまを描き出す。
この映画の構想は、二ノ宮監督自身が映画を志した20年ほど前になるといい、「どうしてもずっとこの映画がつくりたくて、今回製作することができました。本当に尊敬するすばらしいスタッフ、キャストの皆さんと、ほかにない映画がつくれたと思います」と自負。
そんな「若武者」がなぜNCF第一弾作品に選ばれたのか。NCFの関代表は、以下のように語っている。
「最初に脚本を読ませていただいた時から、もうすでに脚本から伝わってくるパワーがすごかった。とんでもない脚本だと思ったので、すぐにこれをやろうという話になった。ただ脚本はすごかったんですが、できあがった映画はさらにそれを越えていた。NCFの第一弾としてふさわしいものができたなと感じております」

NCF共同代表を務める鈴木代表も「彼とはずっと一緒に映画つくりをやってきた仲で。今回は脚本の時点で二ノ宮隆太郎の純度が高いものができあがった。しかし通常の、映画会社にお金を出してくださいと言いに行くようなやり方でつくられた脚本ではなく、とにかく今純粋に、書きたいものを書いたという脚本だったので。それをどういう風に実現するか、という形を何年もかけて模索していきました。そんな中で、今回レーベルとして立ち上げたというわけです」と明かした。

そしてあらためてNCFで制作された本作について、二ノ宮監督は「とにかく新しい映画をつくるんだという皆さんと一緒に、自由にやらせていただいたというところもありましたし、皆さんと一丸となって、脚本づくりから撮影まで、すごくやりやすい環境をつくっていただきました」と充実感をにじませた。
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