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こじらせた母と息子の関係描くほろ苦い喜劇「僕らの世界が交わるまで」 二村ヒトシ、映画.com編集部がトーク

2024年2月13日 19:00

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「僕らの世界が交わるまで」
「僕らの世界が交わるまで」
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TOKYO FMほか全国38のFM局のオーディオコンテンツプラットフォームで、スマートフォンアプリとウェブサイトで楽しめるサービス「AuDee(オーディー)」 と映画.comのコラボ新番組「映画と愛とオトナノハナシ at 半蔵門」。作家でAV監督の二村ヒトシと映画.com編集部エビタニが映画トークを繰り広げる。

今回の作品は、俳優ジェシー・アイゼンバーグが長編初メガホンをとった「僕らの世界が交わるまで」。アイゼンバーグがオーディオブック向けに制作したラジオドラマをもとに自ら脚本を手がけ、ちぐはぐにすれ違う母と息子が織りなす人間模様を描くヒューマンドラマ。

ジュリアン・ムーア演じる母エブリンは、DV被害に遭った人々のためのシェルターを運営し社会奉仕に身を捧げており、フィン・ウルフハードが扮するZ世代の息子ジギーは、ネットのライブ配信で人気を集め、自分のフォロワーのことで頭がいっぱいだという設定だ。

「親子の軋轢はどの家庭にも起こりえることだけど、我々親世代がみると胸搔きむしられる作品」と二村。エブリンのキャラクターも重要で、「優しいことがいいのかわからないけど、自分のつらさを抱えていて、それが自分の活動の原動力になっている。いいことやっているはずの大人が自分の心の穴を埋めている」「生活に困っていないけど左寄りで、空気が読めない人。とんがってはいるけど凡庸な人」と分析すると、エビタニが「彼女は社会に尽くしてきたのが誇りだけど、実は社会性がなくて、人の気持ちがわからないタイプ。それは夫との関係からもわかる」と補足する。

ジギーが恋に落ちたものの、関係がうまくいかなくなったライラも、社会問題への意識が高く、母エブリンに似た側面を持つ。二村は「人間は言葉にできていなかった、自分がほしかったものを見つけてしまうと恋に落ちることがある。また、自分の持っていないものに惹かれるのは彼の空虚さを表している」と恋愛心理について言及し、また、インターネット上で作品を発表することで承認欲求を満たしてしまうことについての弊害も指摘する。そして、高校生同士の恋愛ということで、エビタニは「ジギーが自分のために作ってくれたと思っていた歌を配信したことに、キレるライラも子供だったのだと思う」と感想を述べた。

ないものねだりの相手にひかれて空回りする親子は、じつは似た者同士であり、「息子とお母さんは平行線。それは二人が似ていて、それがわかるシーンがしょっちゅう出てくる。邦題もよいけれど、原題が『When You Finish Saving the World』で、社会活動で世界を守りたい母、息子は自分の音楽で世界を救えると思っている。原題は、二人のその後を指しているのかなと思った」と持論を語り、「共感できないのに、見ているうちに最後は共感できてしまうのがこの映画のいいところ」とエビタニ。二村は「喜劇ですが、笑って見ていると胸につき刺さる親子の話。息子はともかく、母のこじらせが終わっていないのが…」と見どころを挙げた。

トーク全編はAuDee(https://audee.jp/voice/show/55260)で聞くことができる(無料配信中)。次回は、橋本愛主演、2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得た「熱のあとに」を取り上げる。

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