杉咲花、志尊淳からの絶賛に照れ笑い「こんな素敵な共演者と出会えて幸せ」
2024年2月13日 20:30

俳優の杉咲花が2月13日、イイノホールで行われた主演映画「52ヘルツのクジラたち」の完成披露試写会に共演者の志尊淳と共に出席。過去に同じ作品を共にしたことがある二人だったが、がっつりと芝居をしたのは本作が初めて。互いに俳優として尊敬できるところを語り合った。

本作は、2021年の本屋大賞を受賞した町田そのこの同名ベストセラー小説を、「ソロモンの偽証」シリーズなどの成島出監督が映画化。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた三島貴瑚(杉咲)が、母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会ったことで、自身の過去と向き合っていく姿を描く。
杉咲は「自分にとってこの物語を知ったことで、これまで感じとれていなかった周波数が広がりました。とてもかけがえのない出合いでした」と作品との巡りあわせによって得られた感覚を述べると、貴瑚が幸せになることを一身に祈るトランスジェンダー男性の塾講師・岡田安吾を演じた志尊は「安吾という役は、今までの自分では知り得なかったことが多かった。まずは知ることから始めました」と役へのアプローチ方法を語る。

初の成島組となった杉咲と志尊。撮影に入る前に、入念なリハーサルを行ったことを明かすと、杉咲は「ウォーミングアップを含めて、お互い信頼できる時間を作っていただけた」と貴重な時間だったことを明かし、志尊も「とてもいい経験でした」と振り返る。
10代から成島作品を観ていたという志尊は「いつか出たいと思っていたのですが、途中から交わることはないのかな」という予感があったという。そんななか、成島監督からオファーを受けた志尊は「とても嬉しかったのですが、単純にやりたいと言えないような役。監督と話をさせていただき、何とか頑張ろうと思えた」と率直な胸の内を明かす。

さらに志尊は「もう一つこの作品をやりたいなと思ったのは、花ちゃんが主役だったこと」といい、「これまで作品は一緒のことはありましたが、がっつり共演したことはなかった。最初は探り探りだったのですが『俳優が作品に向き合う姿勢ってこうだよな』と思わされた。倒れるぐらい向き合って、誰よりも前に立って突き進んでいく。お芝居も本当に杉咲花は素晴らしいと感じながらやっていました」と絶賛する。
志尊の言葉に杉咲は「恐縮です」と照れくさそうに笑っていたが、「ここまでコミュニケーションを取りながらやれたのは初めて。絶対的な味方として存在してくださり、アドバイスを含めてサポートしていただけました。こんな素敵な共演者と出会えて幸せでした。安吾という役にすべてを捧げた志尊君には感謝しかないです」と敬意を表していた。

杉咲は「とても大切に思っている作品。どうやったら伝えられるのだろう……」と言葉に詰まると「この作品での気づきを、自分自身の人生や、この先のモノづくりにフィードバックできるようになれば」と思いを吐露していた。
イベントには小野花梨、桑名桃李、主題歌を担当した「Saucy Dog」の石原慎也、原作者の町田そのこ、成島出監督も登壇した。「52ヘルツのクジラたち」は3月1日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開。
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