【「カラーパープル」評論】黒人たちの音楽&パフォーマンス能力全開のミュージカル版は、パワフルに「生きる力」を漲らせる!
2024年2月10日 21:00

あの物語がミュージカルに? 1985年にスティーブン・スピルバーグ監督が映画化したストーリー(アリス・ウォーカーの小説)について知識があれば、不思議に思うかもしれない。なにしろ主人公の黒人女性、セリーの置かれた境遇は、衝撃的なまでに悲惨なのだ。それが2005年にブロードウェイでミュージカル化され、本作はこの舞台と映画、両方の長所をミックスしてつくられた最新版映画である。それなら「レ・ミゼラブル」のように暗く、ずっしりと響くミュージカルなのかと思うと、まるで逆。ミュージカルらしい高揚感にあふれた、とびきりパワフルかつエモーショナルな作品となっている。
セリーは少女のころに父親から性的虐待を受け、ふたりの子どもを出産。その子たちを取り上げられ、3人の子をもつ横暴男との結婚を強いられ、唯一の希望だった仲よしの妹、ネティとまで引き離されてしまう。夫に「お前は何の価値もないし醜い」と罵られ、殴られ、性的にも支配され、こき使われる、奴隷そのもののような生活。だが、どんなに屈辱を味わおうと、セリーの心には「生きる力」が静かに漲っている。それを支えるのは、愛と希望だ。妹ネティへの愛。そして、男に「No!」を突きつけ闘うソフィアとの出会い、夫が恋い焦がれる自由奔放なR&B歌手、シュグと交わす愛が、セリーを変えていく。
セリーがたどる受難の道が「自分を縛るすべてからの解放」「自己肯定できるよろこび」へとつながるからこそ、クライマックスに音楽の力が奏功するのかと思いきや、序盤から飛ばす飛ばす。日曜の朝に教会へと集う人々の、エネルギッシュなソング&ダンスにまず圧倒されるだろう。黒人だけに神が与えた音楽のセンス、パフォーマンス力を思い知り、それを味わう悦楽と、彼らへの共鳴、尊敬の念がわいてくる。黒人女性の苦難と悲劇、生命力と希望を描くのに、「魂の叫び」を歌った黒人音楽=ブルースやゴスペルを用いるのは、とてつもなく理にかなっているのだ。物語にともなうミュージカルシーンの見せ方もバラエティに富んで、意外なほど楽しく、惹きつけられっぱなし。この物語はミュージカルで表現するのが正解だったのだ、と思わされる。
メインの女性3人はブロードウェイ版のキャストが演じているが、芝居の面でも非常に繊細。歌うことで状況や心境がわかりやすくなり、ダイレクトに響いてくる。ソフィアのパワフルな「Hell NO!」や、シュグが「シスター」と歌いかける「Miss Celie’s Blues」がセリーの心をどう動かしたのか。その心境がいちいちよくわかる(シュグとの愛のシーンも、セリーの心を幻想的に反映して印象的)だけに、ついにセリーが自分の価値を悟り、反逆が爆発する「I’m Here」が誘うのは、ただ圧巻のカタルシス! そして美しいハッピーエンドが待っている。
スピルバーグ版も素晴らしいが、観終わった後にすぐもう一度リピートしようとは思えなかった。しかしこの作品は何度もリピートしたい。ソウルフルな音楽の快楽があり、「生きる力」を漲らせてくれるからだ。
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