【「ダム・マネー ウォール街を狙え!」評論】コロナ禍、全米を熱狂させた「ゲームストップ事件」とは、一体何だったのか?
2024年2月3日 22:00
これは、ニューヨーク証券取引市場に上場する、ある株式銘柄に関して実際に起こった出来事です。「ゲームストップ社」(GME)というゲームの販売店を経営する会社の株価が、ある日突然8倍に跳ね上がります。会社の業績に何か特別なことが起こったわけでもないのに。その後、株価は一気に8分の1に暴落。そこからまた6.5倍上昇するというジェットコースターのような動きを見せました。その激しいアップダウンの裏側で起こっていた出来事を描いたのが、映画「ダム・マネー」です。
日本でも、かつてライブドアとフジテレビが繰り広げた、ニッポン放送株をめぐる仕手戦が記憶に新しいところですが、今思えばあれはフジテレビの経営権を巡るガチな攻防でした。ところがこのGME株の案件は、全然性格が違います。ひと言で言えば「SNS時代の相場ゲーム」みたいな実に軽いノリなんです。軽いんですが、波及効果は絶大でした。食いついたのは、圧倒的に若者です。
背景はこんな感じです。
→「筋トレにハマる人」「料理にハマる人」「ゲームにハマる人」など色んなことにハマる人が現れた。
→「投資にハマる人」「投資を始める人」も多数現れた。
それは、ある種の必然だった。何故なら;
→「野球やアメフト、サッカーなどのプロスポーツ」は全部中止(再開しても無観客)。
→「映画館」「ライブ」「カラオケ」などのエンタメ施設は全部休業。
一方、証券取引所だけは「通常営業」していた。そして、そこに現れたのが;
→「GME株をこよなく愛するインフルエンサー」が降臨。Reddit掲示板とYouTubeを活用して情報発信。
→「YouTubeで実績報告」が日課。自分がGME株をいくらで買って、いくら儲かったか正直に共有。
→「コロナ禍でヒマ」だった米国民が食いつく。その情報を基にこぞってGME株に殺到。
→「ロビンフッド」というスマホアプリが強烈な援軍に。ゲーム感覚で取引完了、しかも手数料無料。
この映画を楽しむのに、投資の知識はあまり必要ありません。「空売り」がどういう取引であるかは理解しておいた方がいいですが、それぐらいです。そして、これから資産形成を目論む人たちにとって、この映画は何の役にも経ちません。投資に役立つ教訓は何も得られないと言っていい。
だけどこの映画は、かなり大きめの達成感を伴った、痛快な一作であることは間違いありません。
私個人としては、大変貴重な映画を見たという感想です。具体的な収穫は;
→「4大ネットワーク」もGME株の動向に注目し、頻繁に報道していたことが判明。
→「ロビンフッド」アプリの革新性と同社の胡散臭さがヴィヴィッドに伝わったこと。
→「アメリカ人はTikTokが大好き」なんだということが嫌というほど分かったこと。
→「ウィンクルボス兄弟」(Facebook創業時に、ザッカーバーグを訴えた双子の兄弟)がエグゼクティブプロデューサーとしてクレジットされていたこと。
最後に、主人公キース・ギルの妻役を演じたシャインリーン・ウッドリーの落ち着いた態度、夫に寄り添い叱咤激励する姿が印象的だったことをつけ加えておきます。主人公の持ち株に、数千万ドルもの含み益が出ていたら、普通は「今すぐ全部売って!」ってなりますよね。実際に、両親や兄弟は「売れ売れ攻勢」に出ますが、妻だけは完全に夫の決断をサポートします。実は、これこそがこの映画の唯一の教訓なのかも知れません。「投資家とその家族は、投資の成績について一喜一憂しない」みたいな。
キース・ギルとその家族は、その後どんな人生を送っているのでしょう? 3年後ぐらいに、ふり返りのドキュメンタリーとか作って欲しいですね。それとは別に、ウィンクルボス兄弟の映画も早く見たい。いろいろ楽しみが増えました。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
【推しの子】 The Final Act NEW
【忖度なし本音レビュー】原作ガチファン&原作未見が観たら…想像以上の“観るべき良作”だった――!
提供:東映
物語が超・面白い! NEW
大物マフィアが左遷され、独自に犯罪組織を設立…どうなる!? 年末年始にオススメ“大絶品”
提供:Paramount+
外道の歌 NEW
強姦、児童虐待殺人、一家洗脳殺人…地上波では絶対に流せない“狂刺激作”【鑑賞は自己責任で】
提供:DMM TV
全「ロード・オブ・ザ・リング」ファン必見の超重要作 NEW
【伝説的一作】ファン大歓喜、大興奮、大満足――あれもこれも登場し、感動すら覚える極上体験
提供:ワーナー・ブラザース映画
ライオン・キング ムファサ
【全世界史上最高ヒット“エンタメの王”】この“超実写”は何がすごい? 魂揺さぶる究極映画体験!
提供:ディズニー
ハンパない中毒性の刺激作
【人生の楽しみが一個、増えた】ほかでは絶対に味わえない“尖った映画”…期間限定で公開中
提供:ローソンエンタテインメント
【衝撃】映画を500円で観る“裏ワザ”
【知って得する】「2000円は高い」というあなただけに…“超安くなる裏ワザ”こっそり教えます
提供:KDDI
モアナと伝説の海2
【モアナが歴代No.1の人が観てきた】神曲揃いで超刺さった!!超オススメだからぜひ、ぜひ観て!!
提供:ディズニー
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。