天使のような歌声披露 自閉スペクトラムを見つめ、歌手になった女性を映すニューカレドニアのドキュメント「BEEの不思議なスペクトラムの世界」
2023年11月28日 09:00

沖縄・那覇市をメインに開催中の新しい国際映画祭「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」で11月26日、ニューカレドニアのドキュメンタリー映画「BEEの不思議なスペクトラムの世界」が上映され、ファビアン・ローブリー監督、本作に出演するBEEことエレア、ウーゴらが来日。トークのほか、那覇市でミニライブを行い美しい歌声を披露した。
アスペルガー症候群であるエレアの波乱に満ちた側面と希望を描くドキュメント。エレアが通う、ISA(ニューカレドニア自閉症専門研究所)のワークショップで出会った音楽家ウーゴは、エレアの儚げな歌声と生き生きとした感情を乗せる歌詞創作の才能を見出し、共に音楽制作に取り組むことに。話すことよりも歌うことが得意なエレアは、自立に向けて少しずつ、時に困難な道を歩みながら、「BEE」というステージネームで、アルバムデビューすることを考える。
(c)Cinema at Sea (c)大北賢次「音楽担当のウーゴが自閉スペクトラムの専門施設で音楽療法を担当しており、そこでエレアの素晴らしい才能を知りました。彼女の詩を見たとき、自閉症の方のストレスや不安は誰もが持っているものだと感じました。診断されていない人もこの映画を見ることによって、生きる助けになるのでは思ったのです」とローブリー監督。「施設の教育担当者の皆さんにリサーチし、本も読みましたが、あえて自閉症を知らない体をとって、観客のみなさんと一緒に自閉症を知っていくというアプローチにしました」と本作の構成の狙いを語る。
エレアは「もともと歌うことが好きで、音楽を聴くのも大好きでした。自分で音楽をやるとは思っていませんでしたが、ウーゴたちに出会い、自閉症を抱える立場としての詩を書きました」と、歌手デビューまでの道のりを振り返る。映画本編では、日本の漫画やアニメを鑑賞する姿や、「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」を歌唱する場面が登場する。「私は漫画が大好きなのです。『フルーツバスケット』『ONE PIECE』『NARUTO -ナルト』『僕のヒーローアカデミア』などを読みます。アニメは父と一緒にジブリ作品を見るのが好きです」と明かす。
(c)Cinema at Sea (c)大北賢次撮影中は「ウーゴのおかげで友達といるように過ごせました。カメラはあまり気にならないのです」と振り返り、完成作を見た感想は「不思議な感じがしました。でも、自分自身より、施設のみんなを見たことに感動しました。カメラに映された彼らがどのように生活して、どのような動きをしているのか…。既に何度も見ていますがいつもうれしく思うのです」と語る。
撮影を担当したクロエ・ブータンは「プライベートに踏みこみすぎない程度に、お互いを知りあうためたくさん話をしました。エレアが歌の練習や歌っているときは集中力があったのでカメラは邪魔にはならなかったのです」と振り返った。
同日、那覇市内のブラジリアンバーPunga Pongaで行われたミニライブでは、「いつも何度でも」を含む数曲を披露。天使のような澄み切った歌声で、観客を魅了した。
「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」は、11月29日まで、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール等、那覇市内を中心とした会場で開催。チケット、プログラム詳細は公式サイト(https://www.cinema-at-sea.com/)で告知している。
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