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佐藤浩市「まるで映画みたいだった」 松岡茉優らと“五反田→目黒”徒歩エピソード披露

2023年11月13日 15:00

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画像1(C)2023「愛にイナズマ」製作委員会

松岡茉優窪田正孝が主演を務めた「愛にイナズマ」(公開中)のトークイベントが1112日、都内で行われ、キャストの佐藤浩市、監督・脚本を務めた石井裕也、プロデューサー北島直明が登壇した。

コロナ禍中からその後の世界を舞台に、理不尽な社会の中で夢を諦めることなく前進しようとする恋人とその家族の、いびつながらも愛おしい絆を描く。SNS上では「今年1番!ぶっちぎりで好き!」「ラストは心を打ちぬかれた」「1億点!刺さったら心臓まで突き刺さります」「文句の付け所のない生涯ベスト入り作品」「ヤバいよ、この映画。絶対にみてほしい」など、高い熱量で書き込む人が続出している。

画像2(C)2023「愛にイナズマ」製作委員会

北島氏が「SNSで生涯ベスト級ですとか、今年ナンバーワン、何度でも見たい、というような非常にポジティブな意見が多いですが」と感想を聞くと、石井監督は「普段はあまりみないんですが」と前置きしつつ「今回は(もう一本の公開作品)『』と公開時期が重なったのでよく見てるんですが、びっくりしたのは、『オールタイムベスト』と言ってらっしゃる人が多いこと。その方の人生にとって特別な一本になったということなので、それは本当に嬉しいですね。生涯で1番なわけですから」と喜びを言葉にした。

そして「そういう作品になった理由って…浩市さん、分かります?」と佐藤に話を振ると、「なんだろうね。一番っていうのはページをめくるように変わって行くもんだから、それでいいと思うんだけど。 1つ言えるのは、この作品は(誰にしも)なにか刺さってくる。年代・性別云々で左右されない映画ということが大きいと思います」と思いを述べた。「国が違えば宗教も違う、人種も違う、そういう中で、全ての人に気に入ってもらうことは理想ではあるけど、現実的ではないんだけれど」という佐藤に、「それでも(本作は)うまく合わさった、特別なものなった」という石井監督に「不思議な偶然がいくつもあった」と振り返った。

画像3(C)2023「愛にイナズマ」製作委員会

トークは撮影現場の具体的な内容に移った。佐藤が「家族での喧嘩のシーンは、ワンカットのグループショットで撮った後に、じゃあ次こっち側から、次はこっちから、と、監督が面白がって何度も撮ったもの」と現場の様子を明かした。石井監督は「編集のために重ねたのではなく、(シーンが)面白いからもっといろんな角度から見たくて何度も撮影した。そういう現場での面白がり方が、すごく伝わったシーンになった」と笑顔で返す。

佐藤「なので、よく感想でアドリブっぽいといわれるのだけど、ノンアドリブですから。全部石井監督の台本通り。現場で1発目のテストから、あ、これいけるな、という感覚があって。監督は本番の時もほとんどカメラを覗かず脇で芝居を見ているんだけど、その時の、彼のその顔ですよ。それがやっぱり僕らにとっては1番の、なんていうか、栄養剤なんでね。もっとやってやろう、という気持ちをくれる。本当にいろんな意味合いが重なって、面白くできましたね」

画像4(C)2023「愛にイナズマ」製作委員会

ティーチインでは、本作を2回見たという観客から「素晴らしい作品でした。脚本を読んだときに思ったことについて教えてください」との質問に対し、「とにかく石井裕也の勢いを感じたんですよ。そこに息づく人たち(キャラクター)を感じて、演じたいと思った」と返答。そして「正夫(窪田)のセリフで『人間は死んだら天国に行くんですよね』というセリフがあったが、お二人の死生観をお聞かせください」という質問には、石井監督は驚いた様子で「すごい! 今、僕もちょうど死後の世界を研究中で、どうやって死後の世界にコネクトしようか考えてるんですよ」と切り返した。

石井監督「この作品が、ある人にはものすごく受け入れられて、ある人には受けられない要素のひとつって僕はそこだと思っていて。全編に死の匂いみたいなものが貫かれてる気がするんですよ。それを1番、最前線で体現したのが浩市さんだと思うんですけど。生と死の垣根については意識していました。ただ、無邪気にやってたので理論化されてはないんです、僕の中では」

佐藤「スピリチュアルな意味合いでお聞きになられたかどうかはわからないけれど、石井監督が今考えてらっしゃる(死生観についての)曖昧な部分が、この映画の後半に生かされていた思う」

画像5(C)2023「愛にイナズマ」製作委員会

そこから、撮影以外でのプライベートな話に移行した。

石井監督「浩市さんはお酒を飲むと、酩酊されるんですよ。酩酊した直後ぐらいは、多分ですが浩市さんは違う世界にコネクトしていて、 何を聞いても瞬間的に答えが返ってくるんですけど、浩市さんはそのことを一切覚えてないんです。俺は、ダライ・ラマの口頭筆記じゃないけど、全部記録して、後でちゃんと伝える係だと思って一緒に飲んでいます」

ここからは公開記念舞台挨拶を3回実施した日の“思い出話”が展開。折村家の家族(佐藤、松岡、池松壮亮若葉竜也)と正夫(窪田)とスタッフで打ち上げをした際に、別れ難くなり“もう一軒行きましょう”と、打ち上げ会場の五反田から目黒のバーまで皆で歩いた、というエピソードを披露。

佐藤「この映画に出てきたバーに行きましょうとなって、そうしたら壮亮(池松)が、五反田から目黒まで歩きましょうというので、あ、いいよって歩いてロケ場バーまで行ったんですよ。家族みんなで30分ほど歩いてね。そうしたら茉優(松岡)が“本当にこんな思い出はない”って言ったけど、まさにその通りで。 忘れることができない、いい思い出になった。まるで映画みたいだった、本当に」

最後のフォトセッションでは、自ら「いい映画なんで(記事を)使ってください」と記者に語りかけていた佐藤。石井監督は「こうやって浩市さんが公開して2週間経ってもまだ(イベントに)来てくれるということは、本当に特別な作品になったということだと思います。まだまだ映画館で上映を続けて、1人でも多くの方に見てもらいたいので、ぜひ皆さんよろしくお願いします」と感謝の意を示していた。

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