稲垣吾郎×新垣結衣が覚悟を必要とした“衝撃作”「今だからこそ、つくる意味がある作品」【「正欲」インタビュー】
2023年11月10日 12:00
「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウ氏が作家生活10周年を記念して書き上げたベストセラー小説を、「あゝ、荒野」の岸善幸監督が、稲垣吾郎、新垣結衣ら豪華キャストを迎えて映画化した問題作「正欲」(第36回東京国際映画祭では、最優秀監督賞&観客賞を受賞)が11月10日から公開を迎えた。
近年「半世界」「窓辺にて」などで高い評価を受ける稲垣が演じるのは、横浜地方検察庁に勤めるエリートの寺井啓喜。息子が不登校になり、教育方針をめぐって妻と度々衝突するようになった彼は、次第に家族との関係が不穏になっていく。
対して、新垣演じる桐生夏月は、彼女の“新境地”との呼び声も高い役柄。広島のショッピングモールで販売員として働く夏月は、自分の心を押し殺した日々を生きてきたが、中学の同級生・佐々木佳通(磯村勇斗)との再会を通じて、自分の中の“秘密”を解放していく。
稲垣も、新垣も、自分が演じる役柄に真摯に向き合いながらも、それでいてどこか肩の力が抜けたような、自然体の向き合い方が非常に印象的な俳優だが、そんな2人が「覚悟は必要だったが、それでもやりたかった」と語る本作。観客それぞれが持つ価値観、善悪の感情を根底から激しく揺り動かすような、衝撃的な作品「正欲」をどう受け止めたのか。(取材・文/壬生智裕)
おっしゃる通り、それなりの覚悟が必要な作品ではありましたが、チャレンジしたいな、という気持ちの方が大きかったですね。
今回は監督とも何度も話し合いを重ねて、意思疎通をとらせていただきました。原作があるものはいつもそうですけど、長い物語の中から、どこをピックアップするかということがすごく重要だったりするので。そういう中で、映画で描きたいことは何なのかと話をさせていただいて。それで意思疎通を図ることができたので、お願いしますという気持ちで受けさせていただきました。
夏月のように、つながりたいのに、つながれなかった気持ちって、相当なものだろうなと思うんです。私が35年間生きてきた中でも、生きづらいなと思う瞬間ははありましたけど、環境も状況も違いますし、それが夏月と同じものとは言えない気がして。ひたすら想像して、考えるしかないなと。そういう思いでした。だから役づくりに関しては、いろんな方に意見を伺いながら、つくりあげたという感じですかね。
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