環太平洋地域にフォーカスした新しい映画祭「Cinema at Sea」 日本初上映を含む約40作品を紹介、コンペ審査員長はアミール・ナデリ
2023年10月11日 21:00
11月23日から沖縄・那覇市を中心に開催される、環太平洋地域にフォーカスした新しい国際映画祭「第一回 Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」のラインナップ発表記者会見が10月11日、台湾文化センターで行われた。日本初上映作品を含む、約40作品が上映される。
同映画祭は、優れた映画の発掘と発信を通じて、各国の文化や民族、個々人の相互理解を深め、将来的に沖縄が環太平洋地域において新たな国際文化交流の場となることを目指し始動したもの。台湾出身で八重山諸島で映画を撮り、現在は沖縄在住のエグゼクティブ・ディレクター黄インイク氏は「現在の地図を忘れて、海から私たちを見る」という視点から企画した映画祭であるとし「太平洋、海をまなざし、海を知る」というスローガンを紹介した。
コンペティション部門、環太平洋地域の島々から注目の監督を取り上げ、今年はハワイ出身の日系監督クリストファー・マコト・ヨギ監督を特集する特別セレクション「Director in forcus」、日本を含めた環太平洋地域で製作された作品を映画祭プログラマーが選出する「Pacific Islnds ショーケース」、アジア最大のVRデバイスメーカーのHTC社と連携するVR体験上映、特別贈賞「マブイ特別賞」(今年は高嶺剛監督)をはじめ審査員の過去作や沖縄未公開の話題作を紹介するスペシャル上映、ビーチでの野外上映、オープニング&クロージング上映という7つのカテゴリで、日本初上映作品を含む、約40作品を紹介する。
オープニング作品は沖縄出身の写真家、石川真生をフォーカスしたドキュメンタリー「オキナワより愛をこめて」。砂入博史監督は「複雑な沖縄スピリットを体現したような存在。1970年代、本土変換前の分断化された沖縄を生きてきた。当時は白人と黒人の娯楽施設も分かれていたような時代。それを体験した彼女の言葉も大変面白い。石川真生丸かじりの映画」と見どころをPRした。
今年のコンペティションは、越川道夫監督「水いらずの星」をはじめ、マレーシア、オーストラリア、台湾、インドネシアなど様々な地域から9作品が選出された。プログラム選考委員の上原輝樹氏は、「環太平洋地域でどのような作品があるのかは当初我々もわからなかった。選考委員の4名で応募作を見て決めた。環太平洋地域で現代性のある、良質な映画を選んだ」と振り返る。審査員長は、イラン出身のアミール・ナデリ監督が務める。会見には越川監督と「水いらずの星」主演でプロデューサーの河野知美も登壇し、2人で作品について語った。
アンバサダーを務め、国際的に活躍する俳優の尚玄は「地元の人にはふらっと映画を見に来てほしい。全国の映画人にも沖縄に気軽に足を運んでもらって映画の会話ができるような、そういう双方向の映画祭になってほしい」と、自身の世界の映画祭での経験なども挙げ、様々な出会いの場になることに期待を込めた。
映画祭理事で、映画監督、俳優の東盛あいかは、日本最西端の与那国島出身。「島に映画館がなかったので、私は島では映画に触れることなく育ちました。島を出てから映画を見るようになり、映画を作り、映画を届ける立場になって、閉鎖的に感じていた沖縄の島が繋がることができる可能性を感じ、海が繋げてくれると教えてもらった気がします。沖縄が中継地点となって、国際的な映画祭になることを強く願っています。私たち若い世代、さらに下の世代の子供たちが世界の映画を沖縄で見られるのは素晴らしいこと」とコメントした。
また現在、不足分の運営資金を募る「MotionGallery」でのクラウドファンディングを実施(https://motion-gallery.net/projects/Cinema_at_Sea)している。
11月23日~11月29日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール等、那覇市内を中心とした会場で開催。会期中はトークイベントのほか、映画製作、企画者が製作資金を得るためのプレゼンの場であるピッチイベント、フォーラム、クリエイター向けワークショップなども行われる予定だ。チケットは11月から発売。プログラムなど詳細は公式サイト(https://www.cinema-at-sea.com/)で告知される。
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