ベトナムの元結合双生児“ベトちゃんドクちゃん”分離手術から35年 ドクさんの人生がドキュメンタリー映画化
2023年10月4日 08:00
元結合双生児のベトちゃんとドクちゃんとして知られるグエン・ドクさん(通称「ドクちゃん」)の壮絶な人生を描く長編ドキュメンタリー映画「ドクちゃん(仮題)」が、日越外交関係樹立50周年と分離手術から35周年を記念し、2024年春以降に劇場公開される。
映画は、ドクさんがベトナム戦争で使用された枯葉剤の影響で結合双生児として生まれた運命から、今も深刻な健康問題を抱えながら平和のアンバサダーとしての使命と共に生きる姿を捉えた作品。現在撮影が完了し、ポストプロダクション中だ。日本人にも馴染み深いドクさんの実像を通じて平和の大切さを伝えることに挑戦する。プロデューサーはドクさんと平和活動を長年続けているリントン貴絵ルース氏、監督はドキュメンタリー作家の川畑耕平。
現在のドクさんは夫として、父として、今年で42歳を迎え、結婚17年目を迎える妻のトゥエンさんと、双子の子供であるサクラちゃんとフジくん、そしてステージ4のがんを患う義母を介護しつつ、自身も入退院を繰り返しながら一家の唯一の稼ぎ手として暮らしている。
日本とベトナムの「友好の絆」を象徴するドクさんの軌跡を伝え、現在を刻み未来の命の輝きを共に見つめるこの映画は、日越外交関係樹立50周年記念事業として認定された。日本は戦後78年を迎え、自身の経験から平和を語る時代から「語り継ぐ」時代へと移行している。製作チームは、35年前、あの大手術をテレビ越しで見守った世代が今はドクさんとこの映画と共に平和の語り部となれることを目指している。
そして、前代未聞の分離手術から35周年を迎える本日10月4日から、完成後は平和活動に貢献することを目指し、製作費のギャップファイナンシングのため、クラウドファンディングを実施する。11月18日まで「CAMPFIRE」(https://camp-fire.jp/projects/view/703859?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show)にて支援を募る。
■グエン・ドクさん
これは私にとって非常に大切な財産であり、人生の軌跡となるでしょう。
私の双子の子供たちや、これからの世代を担う多くの若者に、前向きに生きる力を与えられることを願っています。
それがこの映画を通じて伝われば幸いです。映画の完成を楽しみにしています。
「(枯葉剤を撒いた)アメリカのことは嫌いですか?」
彼の答えは、「アメリカ人も、僕と同じように平和を愛してる」でした。
それ以来、彼から「生きる」ことの困難さと逆境に立ち向かう人間の本質的な強さを学びました。
しかし、その存在が多くの人にとって「過去の人」として捉えられ、一見、終わったドラマのように見えてしまっていることに私は危機感を感じています。
それではまた残念なことにも悲惨な歴史は時を超え場所を変え、繰り返されてしまうのではないでしょうか。
この混沌とした時代において、彼だからこそ伝えられる「平和」のメッセージがあります。
日本人とベトナム人が、あらゆる知識と技術を結集しヒューマニズムに溢れた協力でベトちゃんドクちゃんを救った経緯からも、日本とベトナムが外交関係樹立50周年を迎えるこの年に、彼の現在の姿を映画にすることは必然でした。
42年前から人々を引き寄せ続ける彼の明るい性格のおかげで、その事実を忘れそうにもなりますが、彼は重度の障がい者です。
どうぞご支援をよろしくお願い申し上げます。