「怪談新耳袋 暗黒」10年のブランクを感じさせない。復活第2弾もやってくれることを期待【人間食べ食べカエルのホラー映画コラム】
2023年9月23日 22:00
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1話5分という短さで、あらゆる理不尽な恐怖を振りまいた人気ホラードラマ「怪談新耳袋」。それが2023年になって、なんと10年ぶりに大復活。タイトルを「怪談新耳袋 暗黒」とし、1話あたりの尺も10分程に拡大して、更なるパワーアップをして帰ってきた。全8話が放送され、ホラー専門配信サービス「オソレゾーン」でもいつでも観返せるようになったこのタイミングで、改めて各エピソードの感想を交えながら振り返っていきたい。
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記念すべき第1話「病院に来た子供」は、以前のコラムで先行鑑賞した際に触れたので、今回は割愛する。ちなみにこの話は結構ポンポン人が死ぬので、「景気いいな~」と思いながら観ていました。
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続く第2話は「ハトの出る部屋」という話だ。これが非常に新耳袋らしい奇天烈な内容で大変良かった。友人に「なんか良く分からないけど部屋にハトが出るっぽくて、自分がしばらく留守にする間、飢えないように餌あげてほしい」という謎のお願いを受けた主人公が体験する恐怖を描く。ハトの姿自体は見たことがないという友人の言葉からすぐに分かる通り、ハトっぽい鳴き声の主は怪異です。その正体があらわになったときの異様な動きが素晴らしい。人間で限界までハトやりました!みたいな感じ。そこからオチまでの勢いも凄い。助走の長いジェットコースターみたいなエピソードだった。ちなみに監督は川松尚良氏。「ミンナのウタ」「忌怪島 きかいじま」にホラー担当として関わったことでも知られている。以前に監督として手掛けた「丑刻ニ参ル」も面白いのでオススメです。
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そして3話は打って変わって王道のタクシー幽霊譚「乗客」。これが渋い仕上がりの素敵な話だった。タクシーに乗ってきたのは、全く喋らずずっと俯いている女性。人か……?幽霊か……?と揺らぐが、やっぱり幽霊でした!と、ここまではよくある展開。この先の急転直下の展開から厭~な終わりを迎える。終盤で一気に評価が上がった。これは結構怖い。
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4話は、これまた新耳袋らしい理不尽極まりないエピソード「カズオ」。特殊詐欺の受け子として、ターゲットの老婆が住む家に上がり込んだ男。その家の中にはカズオと呼ばれる子供がいた。おばあさんが何者で、カズオとどういう関係なのか。それすらも分からず、無邪気に怪異を振りまいていく。カズオの無茶苦茶な振る舞いや、後半で見せる人間離れした大技が不気味さを加速させる。そして最後に見せるあの動き!あのシーンは、この話だけでなく、本シリーズ全体を通してのハイライトと言っていいだろう。何も分からないが故の恐怖という新耳袋の魅力が余すことなく全面に出ている。個人的には、8話の中で一番この話が好きです。
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そして、5~8話にかけては連続大型エピソード「人形村」で構成される。水素より軽いノリで、山奥にあるとされる人形村を目指す動画配信グループが、案の定死ぬほど怖い目に遭うという話。調子に乗った配信者が痛い目を見る設定のホラーは、これまでにも星の数ほど作られてきた。その中に埋もれないか心配ではあったが杞憂だった。いや、正直なところ不満な点もある。まず主演メンバーの皆さんは若干演技が拙く、せりふ回しも説明くさく、4話連続という構成もあって間延びするところも多い。
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しかし、山奥にひっそりとある廃村のビジュアルは雰囲気抜群だし、下手くそな仕上がりの等身大人形が、気付いた時には目の前に迫っている様は中々不気味で、半POVな構成と合わさって結構怖いと感じるシーンもある。遠目で見ると人が普通に動いているようなんだけど、近づくと人形、という演出が好みだ。これを見られただけでも収穫はあった。このエピソードは、2話構成くらいに絞るか、いっそ内容を膨らませて80分くらいの長編ホラー映画にしてもよかったかもしれない。設定自体は非常に心惹かれるものがあったのは確かだ。
というわけで、全8話を改めて振り返ってみたが、10年のブランクを感じさせない良い話が多かったと思う。特に「カズオ」は珠玉だった。投げっぱなしホラーの鑑である。これを機に再びシリーズが復活してほしいところだが、果たしてどうなるだろうか。前にも書いたけど、短編ホラーはYouTubeが浸透したことで以前よりも受け入れられやすくなっているので、新耳袋は今の時代こそハマる気がする。次にやるときは1話5分に戻したのも観てみたい。復活第2弾もやってくれることを期待しています。
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