変わり果てた息子の姿を前に、母が起こした驚きの行動とは― エメット・ティル殺害事件を映画化「ティル」予告編
2023年9月13日 12:00
1955年8月28日に米ミシシッピ・マネーで実際に起きた、アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなった「エメット・ティル殺害事件」を初めて劇映画化した「ティル」の予告編がお披露目。息子の変わり果てた姿を前に、「息子に何があったか皆に見てもらうわ」と決意する母の姿が切り取られている。
製作に黒人俳優として世界的な人気を誇るウーピー・ゴールドバーグ、「007」シリーズのスタッフらが名を連ねる本作は、公開されるやいなや、各国の映画祭で賞賛の嵐が巻き起こった。60の主要映画祭で21部門受賞、86部門ノミネートを記録し、賞レースを席巻。なかでも、主演を務めたダニエル・デッドワイラーは、ゴッサム・インディペンデント映画賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、サテライト賞など数々の映画賞で、女優賞を総なめ。映画批評サイト「Rotten Tomatoes」でも批評家スコア96%、観客スコア97%(9月12日時点)の高評価を獲得した。
舞台は55年、イリノイ・シカゴ。夫の戦死以来、空軍で唯一の黒人女性職員として働くメイミー・ティル(デッドワイラー)は、14歳のひとり息子・エメット(愛称ボボ/ジェイリン・ホール)と平穏な日々を送っていた。しかし、エメットが初めて生まれ故郷を離れ、マネーの親戚宅を訪れた際に、悲劇が起こる。エメットが飲食雑貨店で白人女性キャロリン(ヘイリー・ベネット)に向けて口笛を吹いたことが白人の怒りを買い、8月28日に白人集団にさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に殺され、川に投げ捨てられる。
息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、この陰惨な事件を世に知らしめるため、常識では考えられないある大胆な行動を起こす。そんな彼女の姿は多くの黒人たちに勇気を与え、一大センセーションとなって、社会を動かす原動力となる。
予告編では、親戚の家で楽しい夏の休暇を過ごしていた息子が一転、白人との間に起こった些細なトラブルに巻き込まれた末、遺体で発見されるさまが映し出される。突然の悲劇に泣き崩れる母エイミー。しかし、息子のありのままの姿を世界に知らしめることで、その存在と悲劇を、世に問う決心をする。「あの子に黒のスーツを着せてあげて」「息子に何があったのか、皆に見てもらうわ」――絶望を希望に変えるほどの母親の愛と強さに、感情が揺さぶられる。
55年8月28日にマネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」は、公民権運動を大きく前進させた。そして2020年の「ジョージ・フロイド殺害事件」を契機に、BLM(ブラック・ライブズ・マター)運動がアメリカ国内のみならず、SNSを通じて全世界に拡大したことは記憶に新しい。黒人をはじめ著名人、セレブ、Z世代にいたるまで、多くの人々が声を上げた大規模な抗議運動のうねりは、22年3月、人種差別に基づくリンチを連邦法の憎悪犯罪(ヘイトクライム)とする「エメット・ティル反リンチ法」成立へとつながっていく。
22年の全米公開当時、ゴールドバーグは、「エメット・ティル殺害事件のことは、同じ黒人なら聞いたことがあるはずです。それは、ひとつの会話から始まり、ふたつ、3つの会話へと発展していく。そのようにこの物語が多くの人に広がっていくこと、それがこの映画を作った全員の目標であり、より良い未来をつくるために過去から学び、今行動を起こすことの重要さを伝えたいのです」と語った。
「ティル」は、12月15日から東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。
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