「アリスとテレスのまぼろし工場」キャスティング秘話 「彼しかいない」と思った榎木淳弥、Vコンから参加した上田麗奈、あて書きの久野美咲
2023年9月5日 20:00

9月15日公開の「アリスとテレスのまぼろし工場」に出演する主人公・菊入正宗役の榎木淳弥、佐上睦実役の上田麗奈、五実役の久野美咲のキャスティング秘話が明らかにされた。
同作は「呪術廻戦」のMAPPAが制作する初のオリジナル劇場アニメ。原作・監督・脚本を「さよならの朝に約束の花をかざろう」で初監督を務めた脚本家の岡田麿里が担当する。製鉄所の爆発事故により出口を失い、時までも止まった町で鬱屈した日々を過ごす中学3年生の正宗は、ある日謎めいた同級生の睦実に導かれて製鉄所へと足を踏み入れる。そこで政宗は野生の狼のような少女・五実と出会い、やがて少年少女の“恋する衝動”が世界の均衡を崩しはじめる。主題歌は、中島みゆきの「心音(しんおん)」。

正宗役はオーディションで選ばれ、岡田監督は榎木のテープを聞いた瞬間、「彼しかいないと思いました」と振り返る。「アニメーションでは、作画監督とキャストが一つになって、初めて役者になると考えている。石井さんはキャラクターに自分の感情を注ぎ込んで憑依したように描かれるので、その方に声を受け入れてもらうのが一番大事だと思っている」と語る岡田監督は、キャスティングについて常にキャラクターデザインの石井百合子にも確認しており、正宗役についても意見が一致したという。
榎木は5月に開催された「MAPPA STAGE 2023」の舞台上で、「オーディションの時もあまり作品の情報がなかったけれども、リアルにやってほしいと言われて。アニメってデフォルメすることが多くてリアルにやる現場は多くないので、リアルにやっていいと太鼓判をいただいたので、『じゃぁ、自分の好きな世界観を出そう!』と。セリフ聞き取れなくてもいいやってくらいの気持ちでやった」と話している。そうしたリアルな演技が、岡田監督と石井が思い描いた“14歳に閉じ込められている正宗”に息を吹き込むことにつながった。

正宗の同級生・睦実役を演じた上田は、睦実役に決まる前に、Vコン(※ビデオコンテ。絵コンテを動画化したもの)制作を手伝うキャストとして声がかかった。実際に読み合わせをすると、「本番も上田さん以外は考えられなくなりました」と岡田監督は振り返り、「アフレコの時も、睦実ってそうなんだと、逆にこちらが気づかされることが多かった。上田さんの演技で、睦実が完成しました」と話す。本番でも睦実役を演じられたことを上田も喜んでいたそうだ。

野生の狼のような謎の少女・五実役を演じた久野。五実役は久野を想定して“あて書き”でシナリオが執筆された。岡田監督は、「『selector infected WIXOSS』や『ひそねとまそたん』、『さよ朝』でもご一緒しているのですが、自分のすべてを込めて演技をする方。今回、キャラクターの手触りをリアルにしたかったのですが、ただ生っぽいのではなく、実在感がほしかった」と久野を起用した理由を明かし、「たとえば、危うさを表現したい時に、危ういシーンを書くのではなく、その空気感を漂わせたい。そう考えた時、久野さんの声があると思って書くのと、誰がやるのかわからないで書くのでは、全く違いました」とも話している。「最初のPVにも久野さんの叫び声を入れたが、あれでスタッフ全員が五実のキャラクターをつかめましたね」とも語り、久野の渾身の演技が五実をかたちづくっていったことがうかがえる。

収録は白熱し、通常横に並んでモニターを見ながらのところを、3人がトライアングル状になりお互いを見つめ合いながら収録するというスタイルも飛び出した。そんななか、何度も録り直し、もっとも時間がかかったのは、最後のクライマックスシーンだったという。声にのる感情のわずかなニュアンスに対する岡田監督のこだわりが凄まじかったそうだが、キャスト陣もそのこだわりに負けないぐらいの熱意で取り組んだ。長時間の収録を終え、岡田監督が「ありがとう」を言うために3人のブースに行くと、キャストのほうから「やっぱり、もう1回やらせてほしい」という申し出があったそうだ。
激しい“闘い”の収録を経て、それぞれのキャラクターが物語のなかでどのように生きているのか、その姿を劇場で見届けてほしい。
「アリスとテレスのまぼろし工場」は9月15日全国公開。
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