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愛し方のずれ、一緒にいることが苦しい二人が家庭を作ると… 二村ヒトシ&映画.com編集部が見たカサベテス「こわれゆく女」

2023年8月30日 15:00

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「こわれゆく女」
「こわれゆく女」
(C)1974 Faces International Films,Inc.

TOKYO FMほか全国38のFM局のオーディオコンテンツプラットフォームで、スマートフォンアプリとウェブサイトで楽しめるサービス「AuDee(オーディー)」 と映画.comのコラボ新番組「映画と愛とオトナノハナシ at 半蔵門」。作家でAV監督の二村ヒトシと映画.com編集部エビタニが映画トークを繰り広げる。

今回は、現在レトロスペクティブが開催中のジョン・カサベテス監督作品で、精神を病んだ専業主婦のメイベルとその夫ニックの愛と葛藤を描き、カサベテス監督の代表作の1つとなった傑作ドラマ「こわれゆく女」について語り合った。

グロリア」は学生時代に見ていたが、今年、本作と「ラブ・ストリームス」を見たという二村。「シネフィルではないので、これまで(ライナー・ベルナー・)ファスビンダーと同じくカサベテスがすごいと聞いていただけだった。あまり映画を見ていなくて恥ずかしい思いもするけど、この歳になってこの世には素晴らしい映画監督がいるんだとわかった。フェイクドキュメンタリーのように、物語を説明しようとしない、その撮り方が大好き」とカサベテス作品の魅力にハマったよう。

本作が初のカサベテス作品だったというエビタニは「見終わった直後は、今はありふれた話のように感じた。女性は家にいるもの、男は自由気ままに働いて、稼いでくればいいだけで、それで妻が心を病んでいく……私が子供だった90年代も、そういうことへの理解が少なかったけれど、2000年代以降は女性は大学行ったり、職に就いた方が良い、そして男は働くだけでいいというわけではなく、家族は全員でつくるものという時代。70年代にこういう映画を自分の妻を使って撮るのがすごいと思った」と感想を述べる。

本作以外にもカサベテスの作品では、妻で女優のジーナ・ローランズが苦境に陥る女性を演じることが多いが、二村は「娯楽作的な『グロリア』では、アクション映画で戦う女性を描いているし、こういう文学的な作品でも女性の困りごと、追い詰められていく話を描いている。フェミニストのように、女性の側に起こる困難に関心があったのだと思う。奥さんを殴るシーンもあるので、今の感覚だと男尊女卑だと言われたり、これは愛ではないと言われるかもしれない。でも、ラース・フォン・トリアーやファスビンダーみたいなもっと不謹慎な監督に比べると女性に優しいと思う」と持論を述べた。

そして、「劇的なことが起こるわけではないのだが、夫婦の何とも言えない日常を描いていて、夫は夫で奥さんがしんどいことはわかっている。この映画の肝の部分は、奥さんが心を病むけれど、奥さんだけが病んでいるわけではない。夫も奥さんを愛していて、仕事もちゃんとして職場では仲間に信頼されている。でも、奥さんが情緒不安定になると、彼も不安定になって、暴力的になってしまう。奥さんのように、まともな人と比べると悪意はないけれど、距離感がおかしい人のずれが悲劇を生んでしまう話」と物語を要約する。

エビタニは「彼女が精神を病んでしまったのは本質的なこともあるのかもしれないけど、(夫婦の)愛の向け方の違いだと思った。メイベルは家族が大事。そして夫が好きで、夫の会社の人だからという理由で、夫の同僚をもてなすが、(自分と家族と)関係のない人はどうでもいいと思う人。一方で夫は愛がたくさんあって、みんなを愛する。でもプライドが高くて、その愛は自分のプライドに帰ってくるような愛。その違いが二人を苦しめているのでは」と指摘する。劇中メイベルが白鳥の湖を歌い踊るシーンにも言及し、「彼女はいい主婦であり、母であり、妻であり、女でなければならないという呪縛があって、歌っているときは解き放たれているようで。本当はもっとうまくやりたいと思っているのかなと、切なかった」と、メイベルの苦しさを推し量っていた。

恋愛に関する文章を発表し、様々なカップルを知る二村は「すれ違っていて、一緒にいることが苦しい二人が、なぜかひかれあって家庭をつくって……二人の愛し方が決定的にずれているから、苦しみが生まれる。でもああいうカップルはよくいる」と事例を挙げる。そして、「カサベテスの映画のいいところはキツイ話なのに、ユーモアがあるところ」といい、さまざまな映画や文学など、芸術作品の精神分析的な見方などを紹介した。

トーク全編はAuDee(https://audee.jp/voice/show/55260)で聞くことができる(無料配信中)。次回はグレタ・ガーウィグ監督の「バービー」を取り上げる。

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