メランコリックな“大人の寓話” 全てのカットに美が宿る「栗の森のものがたり」予告&ポスター
2023年8月3日 17:00
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フェルメールやレンブラントに影響を受け、チェーホフの短編にインスピレーションを受け創出した絵本のような世界を描く「栗の森のものがたり」の日本版予告編とポスタービジュアルがお披露目。全てのカットに美が宿る、メランコリックな“大人の寓話”の一端が垣間見える。
本作は、スロベニア出身の新鋭グレゴル・ボジッチが長編監督デビューを果たし、2019年のスロベニア国際映画祭で最優秀作品賞を含む11部門で受賞。20年のなら国際映画祭では、コンペティション作品のなかで「最も美しい」と評され、審査員特別賞に輝いた。イタリアとユーゴスラビアの国境に位置する広大な森を舞台に、ケチな棺桶職人と、夢見る栗売りの孤独なふたりの人生の機微を、ほろ苦く描き出す。
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物語の舞台は1950 年代、かつては“安息の地”と呼ばれ、息をのむ美しさを誇った栗の森に囲まれた、イタリアとユーゴスラビアの国境地帯にある小さな村。第二次世界大戦終結後、長引く政情不安から人々の多くは村を離れ、村に残った人々も、戻ってくるはずのない家族や隣人をただ待ち続けていた。
老大工のマリオは、家を出たまま戻らないひとり息子からの連絡を待ち続け、投函することのない息子宛の手紙に思いを綴っては、引き出しにしまっていた。一方、栗売りのマルタは、戦争から戻ってこない夫の手紙と数枚の写真を唯一の手がかりにして、現在彼が住んでいると思われるオーストラリアに旅立つ決意を固めていた。そんなある日、マルタとマリオは出会い、互いの身の上を語りながら、その境遇を思いやる。そしてマリオは、マルタにある提案を持ちかける。
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予告編は、「夢か現か、お伽噺みたいな話さ」という言葉通り、幻想的な映像を幽玄な音楽が彩り、静かな悲しみと、過ぎし日のあたたかい思い出が映し出されている。アーティストのbeti jurkovicが歌う「paganini twist」(オリジナルはソフィア・ローレン主演映画「真夜中へ五哩」の劇中曲)が響く。ポスターは、忘れ去られた大地でひとり、戦争から戻らない夫を待つマルタ、美しい栗の森、ひとり息子を思うマリオの過去をとらえた、静謐な情感を表した1枚となっている。
脚本・編集も兼ねたボジッチ監督は、フェルメールやレンブラントといった、オランダの印象派の画家に影響を受けたといい、35ミリとスーパー16ミリフィルムを駆使し、絵画のような風景を切り取った。使い古しの洗面器、ピッチャーや果物、箒や靴、洗濯カゴや紙くずなど、何もかもが優しい光に照らされ、ゆっくりと時が流れる森の日常を陰影深くとらえた独特の映像美を実現させた。
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賭け事が大好きで、病弱な妻にも辛辣な言葉を浴びせるマリオを、イタリアの名優マッシモ・デ・フランコビッチが演じる。お金を貯め栗の森を離れようとする、“最後の栗拾い”マルタ役は、「最もセクシーなクロアチア女性スター」にもランクインしたイバナ・ロスチ。マリオの妻ドーラ役を、イタリアの演技派ジュジ・メルリが務めている。アイスランドのヘクラ・マグヌスドッティルが音楽を担い、テルミンの音色で、彼らの喜びや悲しみ、喪失感の無常さを詩的に表現した。馬車に乗る若い女性ふたりが、シルビー・バルタンの名曲「アイドルを探せ」を歌い踊るシーンも印象的だ。
「栗の森のものがたり」は、10月7日から東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。
(C)NOSOROGI TRANSMEDIA PRODUCTION RTV SLOVENIJA DFFB 2019
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