堀内友貴監督「明ける夜に」公開 歌人・穂村弘がコメント「こんな永遠の一日が欲しかった」
2023年8月1日 09:00
堀内友貴監督の長編デビュー作「明ける夜に」が、第16回田辺・弁慶映画祭コンペティション部門受賞作品や受賞監督の新作などを特集上映する「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」内で、8月18日から24日までテアトル新宿、9月3日と4日にシネ・リーブル梅田で公開される。
作品は、8月31日から9月1日にかけて、夏の終わりを目前に、大人になれない若者たちをコミカルで爽やかに描いた青春群像劇。モラトリアム(大人の領域に踏み込めずにうろうろしている状態)をテーマに映画制作を続ける堀内監督は、前作「また春が来やがって」で第32回東京学生映画祭観客賞と審査員特別賞(城定秀夫監督)を受賞。長編デビュー作となった「明ける夜に」は、新人監督の登竜門とされるSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022、第23回TAMA NEW WAVE、第33回東京学生映画祭(実写長編部門グランプリと観客賞)、なら国際映画祭2022(NARA-wave部門ゴールデンKOJIKA賞)、そして田辺・弁慶映画祭(キネマイスター賞と映画.com賞)に出品されるとグランプリ2つを含む計5冠を獲得した。
脚本も手掛けた堀内監督は「(映画制作の専門学校)在学中に出会った、まだ世の中に知られていない素晴らしい俳優の方たちや、共に学んできた優秀な学生スタッフ、そして僕自身が、この映画で映画業界に見つけられてやるんだ。そんな想いで本作を製作しました」という。
就活に苦戦する主人公・山ノ辺を、「走れない人の走り方」ほか話題作への出演が続く五十嵐諒、山ノ辺が面接会場で出会うキミを、舞台を中心に活躍する花純あやのが演じている。また、キミの親友で野球部のマネージャーだった凛子役には「海を盗んだふたり」のとしお理歩、元野球部の秀一役には米良まさひろとフレッシュなキャストに加え、佐野日菜汰、志真うた、在原貴生、七瀬てつ、巴山祐樹、松本高士らが出演。
公開を前に、漫画家の大橋裕之氏、歌人の穂村弘氏、GANG PARADEのテラシマユウカ氏から応援コメントが届いている。大橋氏は「みんな気まずい夜を乗り越えて、それぞれの夏を終わらせる。電話を切ったあとに見せたあの青年の一瞬の笑顔が忘れられない」。穂村氏は「夢も大事なものもばらばらな人々が、偶然、海まで歩くことになる。噛み合わない会話の生々しさにどきどきしました。まだ何者でもない若者たちの夏の終わり。自分にも、こんな永遠の一日が欲しかった」とコメント。
そして、テラシマ氏は「夏らしいことなーんにもできなかったよねー。毎年夏の終わりを予感するたび、夏を達成できなかったことについて保険をかけるかのようになんとなく口にしていた言葉だ。自身が大人になったと感じる瞬間が増えるのと比例して、8月31日を夏の終わりであると明言できる感性が羨ましいと思う気持ちが育っていった。『明ける夜に』は、そんな私のちいさく抱えた感情をそっと昇華してくれた」とコメントを寄せている。
なお、「田辺・弁慶映画祭セレクション2023」は8月4日から24日までテアトル新宿、9月1日から7日までシネ・リーブル梅田で開催される。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。