米俳優組合が猛反発 AIに関するスタジオ側の「画期的」提案が明らかに
2023年7月19日 10:00
労使交渉の決裂から、米俳優組合(SAG-AFTRA)がストライキに突入している。争点は多岐にわたり、条件面でも大きな隔たりがあったというが、人工知能(AI)使用についてのスタジオからの提案をSAG-AFTRAが明らかにした。
SAG-AFTRAの全国執行役員であり、最高交渉責任者であるダンカン・クラブツリー=アイルランドによると、映画会社、テレビ局、配信プラットフォームなど350社が所属する業界団体Alliance of Motion Picture and Television Producers(AMPTP)は、1日の出演料と引き替えに、エキストラの俳優をスキャンし、肖像権を企業側が取得。企業側は永久的に利用するというものだったという。
AMPTP側が「画期的」と呼ぶ提案に、組合員たちは猛反発。俳優のジョン・キューザックは「スタジオはエキストラの肖像権を永遠に所有し、ビジネスから排除したいと考えている」とツイートしている。
ストライキ発動にともない、SAG-AFTRAの会長であるフラン・ドレッシャーは、「私たちのメンバーは非常に貪欲な存在によって被害を受けています」と主張。
「ビジネスモデル全体が配信、デジタル、AIによって変えられています。これは歴史の瞬間であり、真実の瞬間です。いま私たちが立ち上がらなければ、みんな困難に直面するでしょう」
米俳優組合がストライキを開始したことで、映画やテレビの撮影、宣伝はすべて停止。このまま収拾がつかなければ、賞レースのスタートとなる8月末のテルライド映画祭、9月のベネチア国際映画祭、トロント国際映画祭なども打撃を受けることになりそうだ。