20年間映画製作&出国禁止→完成後に逮捕 イランのジャファル・パナヒ監督作「熊は、いない」9月15日公開
2023年7月14日 17:00

イラン政府に映画製作を禁じられながらも、圧力に屈せず撮影を続ける“闘う映画監督”ジャファル・パナヒの最新作「ノー・ベアーズ(英題)」が、「熊は、いない」の邦題で、9月15日に公開されることが決定。「本作完成後、パナヒは逮捕された」という衝撃の言葉で締めくくられる予告編、日本版ポスタービジュアル、場面写真7点が一挙にお披露目された。
(C)2022_JP Production_all rights reserved長編デビュー作「白い風船」(1995)で第48回カンヌ国際映画祭のカメラドール(新人監督賞)を受賞して以来、世界三大映画祭ほか主要映画祭で高く評価され続ける、イランの名匠パナヒ。市井の人々の日常を通して、イラン社会のリアルな現実を描き続けるも、政府から2010年に“イラン国家の安全を脅かした罪”として、20年間の映画製作と出国の禁止を言い渡される。それでも諦めることなく、さまざまな方法で映画を撮り続け、10年以降の本作を含めた長編5本は、全て極秘で撮影。あらゆる制約を回避し、自身を映画の題材にすることで、ミニマムながら工夫と発想に富んだ豊かな映画を作り続ける、“世界で最も勇敢な映画監督”として知られている。
最新作でパナヒ監督は、イランの村からリモートで映画を撮影する監督役として主演を務める。滞在していたイランの小さな村で起きたあるトラブルに巻き込まれていくという物語だ。自国イランでは上映禁止だが、第79回ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を獲得。日本でも第23回東京フィルメックスのオープニング作品として上映されると、「圧巻の一本!」「脳裏に焼き付いて離れない」と、目の肥えた映画ファンの絶賛を集めた。
(C)2022_JP Production_all rights reservedポスターでは、パナヒ監督が、カメラのファインダーをのぞきこみ、何かを撮影。その周りを、民族衣装をまとった村の住人、体を寄せ合うカップルなど、老若男女が囲んでいる。ポスターの縁には、美しいイランの伝統文様が施され、一見牧歌的で明るい印象を与える。しかし、「イランの村で起きた、ある掟にまつわる事件」という不穏なコピーが添えられ、胸をざわつかせる仕上がりだ。
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(C)2022_JP Production_all rights reserved予告編では、国境付近にある小さな村から、リモート撮影を進めるパナヒ監督を活写。彼が撮影するドキュメンタリードラマの主人公は、トルコで国外逃亡を考えている若いカップル。そして滞在する村にも、古いしきたりが原因で愛し合うことがを許されず、そこから逃げることを望むカップルがいた。やがてパナヒ監督に、不穏な影が忍び寄る――「ある2人の写真を撮っておられたかな?」と訝しげに尋ねる村の男たちと、暗闇のなかで「血が流れます、助けてください」と叫ぶ女性。やがて小さな出来事は大きな事件へと発展し、村人たちがパナヒ監督を取り囲む緊迫したシーンが映る。
さらにはトルコの映画撮影も難航し、カップルが「私たちの人生を撮ると言いましたよね?」と、パナヒ監督を問いただす事態に。パナヒ監督を軸に展開するふたつのストーリーが交錯し、「村にある掟とは?」「熊とは一体何なのか?」「2組のカップルが辿り着く運命とは?」など、いくつもの問いを投げかけていく。最後は、暗闇のなかで国境線を踏むパナヒ監督の緊張感溢れる表情が切り取られており、本作、そしてパナヒ監督自身に待ちうける、想像を絶する結末を予感させる。
(C)2022_JP Production_all rights reserved「熊は、いない」は、9月15日から新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。なお全国鑑賞券は、本国ポスターをデザインした特製ポストカード付きで、7月14日より発売される。
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