ラム・サム監督&アンジェラ・ユン、コロナ禍が背景となった“香港ローカル映画”に込めた思い【アジア映画コラム】
2023年7月13日 15:00
北米と肩を並べるほどの産業規模となった中国映画市場。注目作が公開されるたび、驚天動地の興行収入をたたき出していますが、皆さんはその実態をしっかりと把握しているでしょうか? 中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」のフォロワー数280万人を有する映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)さんに、同市場の“リアル”、そしてアジア映画関連の話題を語ってもらいます!
今の香港映画は、とても“熱い”んです!
本コラムの第53回でも「香港映画&香港映画界の現状」について紹介しました。私が運営に関わっている「活弁シネマ倶楽部」は、5月19日から「新世代香港映画特集2023」と題し、「縁路はるばる」「私のプリンス・エドワード」を配給。映画ファンの間で、大きな話題となっています。
そして、7月14日から「星くずの片隅で」が公開されます。同作は、昨年の台湾金馬奨で主演男優賞、主演女優賞など3部門にノミネート。香港アカデミー賞とも呼ばれる香港電影金像奬では10部門にノミネートし、音楽賞を受賞しています。昨年香港で上映され、アジア各国の映画祭でも絶賛されていました。
今回は、ラム・サム監督、ヒロインのキャンディを演じたアンジェラ・ユンのインタビューをお届けします。
コロナ禍で静まり返った2020年の香港。「ピーターパンクリーニング」を経営する中年男性ザク(ルイス・チョン)は、車の修理代や洗剤の品薄に頭を悩ませながら、消毒作業に追われる日々を過ごしていた。そんな彼のもとに、職を求める若いシングルマザーのキャンディが現れる。幼い娘ジューのため慣れない清掃の仕事を頑張るキャンディだったが、彼女が客の家から子ども用マスクを盗んだために、ザクは大事な顧客を失ってしまう。
撮影前に何度か二人で買い物に行ったり、おもちゃを買ったりして、今まで経験したことのない細かいことがたくさんありました。例えば、子どもの食べ物アレルギーの問題。私は最初全然考えもせず、彼女を連れて食事をした時、名物の肉骨茶を注文したんです。問題ないと思っていたんですが、念のため、彼女のお母さんに連絡したら、大変なこと(=アレルギーがあった)に気づきました。子育ては常に細かく注意しなければならないこと、そして、親として子どもに対する、ある意味異常な愛情を感じました。実際、コロナの時も、親たちは自分がかかったことより、子どもがかかった時の方がずっと心配していました。親はどんな感情を持っているか……トン・オンナーちゃんと一緒に過ごすことで、本当にたくさんのことを学びましたし、役作りにも非常に役に立ちました。
そして、現場に入ってから、私たちは常にキャラクターについて話し合っていました。「私たちがどのように生きているのか」「私たちがどれだけお互いに近い存在なのか」ということを、細かくディスカッションしました。彼は私の先生であり、親友であり、兄弟であり、すべてでした。 とても感謝しています。
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