「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は日本興収100億円の“大台”を超えられるのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2023年4月28日 07:00
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
今週末の4月28日(金)から「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が公開されます。
個人的に意外だったのは、日本発のゲームの映画化なので、日本から公開が始まっても不思議ではないと思っていたら、アメリカを始めとする多くの国では4月5日に一足早く公開されたことでした。
アメリカでは、オープニング興行収入が1億4600万ドルとなり、2023年の週末オープニング興行収入としては最高記録を更新するなど文字通りの大ヒットをしています。
そして、アメリカでは目下、3週連続1位になっていて、世界興行収入では4月24日(日)の段階で興行収入1000億円を突破しメガヒットを記録しています!
それだけ世界中を魅了している映画なので、日本でも興行収入100億円という“大台”を超えられるのか、と期待されますが、果たしてこれは可能なのでしょうか?
結論から言うと、私は可能だと思っています。
その根拠の1つは、「マリオ」らはまさに日本が生み出したキャラクターで、日本人にとって非常に馴染みのあるコンテンツだと言えるからです。
とは言え、「マリオ」の映画は今回が初めてではないのです。例えば1993年にハリウッドで映画化された「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」という実写映画がありましたが、これは日本も含め、大きな失敗をしています。
つまり、日本発の「マリオ」とは言え、「日本で人気が出るとは限らないのでは?」という疑問が出るのは理解ができます。
しかし、今回は、任天堂が積極的に関わり、「ミニオンズ」シリーズなどを手掛けた「イルミネーション」と共同製作をしているのです!
ちなみに、マスコミ向けの完成披露試写会が六本木で行われた時は、関係者席の多いプレミアムシートで見ていたからか、見終った後に「やっとこれまでの苦労が報われた」といった話をしている人たちの会話が聞こえてきました。
まさにこれは、本作で多くの先鋭が関わった任天堂のスタッフの人たちの会話なのでしょう。喜びと安堵を隠さない彼らの様子から、如何に苦労したのかが伝わってきました。
というのも、「やるからには絶対に失敗は許されない」といった決意から2016年には任天堂はイルミネーションと水面下でクリエイティブな本気の話し合いを行なっていて、もしダメそうなら企画を白紙にする覚悟を持って臨んでいたからです。
そして、努力の甲斐もあり上手くいきそうな感触を得て、ゴーサインを出しました。これらの本気のすり合わせ等も含めれば、7年もの期間が費やされたわけです。
私は、「マリオ」シリーズのゲームをほぼやっていないため、一見さんのレベルです。
例えば、マリオの映画ではマリオの弟のルイージが出てきますが、「え、マリオって兄弟がいるの?」と最初は驚いたくらいです(笑)。
ただ、よくよく考えてみれば「マリオブラザーズだから当然か」とすぐに納得できましたが、要は、その程度の知識さえなかったのです。
ところが、本編を見てみたら、見たことのある「ゲームのマリオそのもの」が見事に再現され、「ゲーム」さながらに動いていたので、これには驚きや感慨深い人も多いでしょう。
ゲーム「スーパーマリオシリーズ」第1作が登場したのは、1985年。実に40年近くも日本人には馴染みのある存在になっているので、マリオというキャラクター自体かなりの認知度があります!
しかも、「スーパーマリオ」シリーズにそれほど馴染みのない私ですら、「ゲームそのもの」の世界観を体感できたので、これは多くの日本人に受け入れられるはずなのです。
あらためてイルミネーション作品のクオリティーの高さに驚きましたし、音楽やキャラクターの動きなど任天堂のこだわりの強さも感じられました。
この映画は、任天堂とイルミネーションとの共同製作なので日本も含め世界中で大ヒットすれば、任天堂に大きな収益がもたらされます。
また、本作はユニバーサル作品なので電通も出資していますし、イルミネーション作品でもあるのでフジテレビも出資しています。
つまり、本作の世界規模でのメガヒットのニュースは、日本企業の利益に大きく貢献することになるため、日本発のコンテンツの飛躍であることに加え、日本経済にとっても大きな意味があるのです!
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