【「ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り」評論】勝因は掛け合いの巧さ。愛すべきキャラあってこそ魔法と冒険が活きる
2023年4月2日 14:00
ゲームの映画版と聞くと、その世界観についていけるのか身構えてしてしまう自分がいるが、約50年の歴史を持つテーブルトークRPGを原作とした本作に、そんな心配は微塵もいらなかった。まずもって本能的に楽しい。わかりやすい。ワクワクする。事前の知識なんて一切不要。いざ映画館の座席に付いたら、後はもうアクションと魔法と“はみ出し者たち”の絆が入り乱れる様に心ゆくまで身を浸すのみだ。
物語は、盗賊のエドガン(安定のクリス・パイン)と無骨な戦士ホルガ(ミシェル・ロドリゲスが最高!)が監獄から大脱出を図るところから始まり、そこに才能を開花できずに悩む魔法使いサイモン(ジャスティン・スミス)と、あらゆる動物に変身するドリック(ソフィア・リリス)らが加わる。彼らが織りなすパーティは間違っても正義の味方なんて柄ではないけれど、やがて闇の力と対峙するため、命がけの冒険に挑むことに……。
実はD&D(「ダンジョンズ&ドラゴンズ」)は過去にも映画化されているが、今回は「スパイダーマン ホーム・カミング」(2017)の脚本コンビによる監督作という点を強調しておくべきだろう。つまり、キャラクターが実によく描けているし、絶妙なセリフの掛け合いによって生まれるリズムと勢いを原動力に、バイテリティあふれるストーリーが適度なボリューム感で紡がれていく。爪弾き者たちがほっと安心できる場所を見つけるという意味では「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014)とも似た味わいがある。
いざ誰かが説明的な口調になると、他キャラの容赦ないツッコミが笑いに変えてくれるし、次の瞬間、あっと言わせる見せ場が吹き抜けていくこともあるので気が抜けない。例えば、変幻自在のドリックが様々な動物に形を変えて城内を逃げ回るシーンなどは切れ目のないマジカルなシークエンスに仕上がっていて、観る側に「この作り手は信用できる!」という問答無用の確信をもたらしてくれるのだ。それからもう一つ、フォージ(ヒュー・グラント)のことを忘れてはいけないだろう。ヒュー独特の飄々とした存在感が憎めないし、ユーモアと華が作品の香りを引き立てる。
VFXも大事だがそれ以上に役者主導にしたところにやはり勝因がある。作り手たちがしっかり手綱を握りしめ、自分たちの大好きな世界をしっかりしたプランニングで描くーーーそうやって生まれたこの快作は、観客にちゃんと“伝わる”し、やっぱり無性に楽しいものなのだ。
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