北村匠海×山田裕貴×永山絢斗×吉沢亮が見据えた、世代を代表する作品の“その先” 映画「東京リベンジャーズ2」撮影現場レポート
2023年3月30日 07:00
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北村「みんなが、この作品に何かを賭けてくれていることを随所で感じて。お互いがそれに応えるように芝居で刺激し合うような現場でした。同世代が一堂に会して、僕たちの先輩方と同じ道ではないとは思うけど、大きなバトンをこの作品で繋いでいけたらなという思いです。そして、また次世代にあの映画を越えようって思ってもらえるくらいの“どデカいもの”になったら良いなと」
北村をはじめ、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮という、若手トップクラスの俳優たちが全身全霊で挑んだ作品。その熱は観客にも大いに伝わり、「東京リベンジャーズ」は最終興行収入45億円、観客動員335万人を記録し、同年の劇場用実写映画で1位となる、社会現象級の特大ヒットとなった。「世代を代表する作品にしたい」という夢は、これ以上ない形で現実のものとなったが、キャストたちはすでに、“その先”を見据えていた。
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前作キャストが再集結する続編「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」の2部作が、間もなく公開を迎える。22年9月10日、映画.comはある神社で行われた撮影現場を訪れた。本記事では現場の様子をレポートするとともに、キャスト陣のインタビューを紹介する。
「映画 賭ケグルイ」シリーズ、「映像研には手を出すな!」の英勉監督がメガホンをとり、シリーズ累計発行部数7000万部(2月時点)を突破した和久井健氏の人気コミックを映画化する「東京リベンジャーズ」シリーズ。どん底の生活を送るダメフリーター・花垣タケミチ(北村)はある日、かつての恋人・橘ヒナタ(今田)と弟・ナオト(杉野)が事故に巻きこまれ、命を落としたことを知る。翌日、何者かに命を狙われたタケミチが死を覚悟した瞬間、高校時代にタイムリープ。ヒナタを救い、逃げ続けてきた人生を変えるため、タケミチは事故の原因があると思われる最凶の不良組織「東京卍曾」(東卍)に潜入する。前作では、過去で東卍の総長・マイキー(吉沢)や副総長・ドラケン(山田)ら大切な仲間たちと出会ったタケミチが、未来を変え、ヒナタを取り戻すさまが描かれた。
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前作が大ヒットしたことで、キャストたちには「前作を越えなければ」という大きなプレッシャーがのしかかったことは、想像に難くない。“座長”である北村は、前作への反響と続編への思いを、次のように語る。
北村「(前作を経て)やんちゃなイメージがつきました(笑)。役者という仕事はつくづく面白いなと思います。撮影している作品で、自分自身のイメージが変化していく、個人としては何も変わらないのに素朴からヤンキーへ。面白い。続編は自分にとって義務だと思っていました。リベンジャーズを止めてはいけないと、そう思っていました」
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北村同様、山田と吉沢も、前作を振り返り、続編に特別な思いを抱いていた。
山田「初めて共演する方から、ドラケン!と声をかけてもらうなど、“ドラケンの人”としてたくさんの方に知ってもらえた作品になったなと思います。それぐらい懸けていたし、アクションのシーンでは『これでぶっ倒れてもいい』と思いながら燃え尽きろと思ってやっていました。また“ドラケンの人”となったことで、他作品でドラケンを超えなければと良くも悪くも大きな壁にもなりました」
山田「正直なところ、前作で全て出し切った気持ちでしたので、続編は大いにプレッシャーでした。ドラケンというキャラクターの大きさ。皆さんの頭のなかにある山田裕貴はそれぞれかと思いますが、山田裕貴という名前よりドラケンの方が強いと感じています。そのなかで、前作を超える作品と、前作を超える作中の役割としての難しさを自分がどれだけ表現できるか、その戦いでしかなかった。超えなければと」
吉沢「(前作の反響を受けて)意外と子ども人気が高いんだなと気付かされました。キャスト・スタッフ一丸となって前作を越えようという意気込みで挑みました」
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続編の中心となるのは、原作の人気エピソード「血のハロウィン編」。タケミチの目の前で再び、東卍によってヒナタが殺される。彼女を救う鍵は、東卍結成メンバー6人を引き裂く“悲しい事件”にあった。かつての親友たちは、なぜ戦わねばならない運命になったのか。「君が助かる未来にたどり着くまで、ぜってぇ折れねぇから!」と誓うタケミチは、再びヒナタと仲間を助けるために奮闘する。
続編には新キャストとして、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙が参加。永山は東卍結成メンバーである壱番隊隊長の場地圭介、村上は東卍結成メンバーだったが、敵対組織「芭流覇羅」のナンバー3となった羽宮一虎、高杉は場地に憧れ東卍に入った壱番隊副隊長・松野千冬を演じる。いずれも「血のハロウィン編」の最重要人物であり、“運命”に翻ろうされるキャラクターだ。
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映画.comが取材した撮影の舞台は、満月が浮かぶ夜、煌々としたライトで照らされた、ある神社の境内。何を隠そうこの日は、本シリーズの代名詞ともいえる東卍の集会シーンが、前作と同じ場所で撮影された。虫の声がこだまし、どこか凛とした清浄な空気が漂う空間で、「東京リベンジャーズ」チームが撮影に取り組んでいた。
前作の影響で、ファンの聖地となった神社のなかで印象的なのは、鳥居の下にあり、マイキーが東卍メンバーを見渡しながら鼓舞したり、ドラケンが座り込んでいたりする階段。実は本物の階段と手すりを隠すように作られたフェイクの階段で、ステージのように1段高くなっている。その上空には、巨大照明がクレーンで吊られており、東卍にとっての特別な場所を照らし出している。
この集会シーンは、ある事情で不在となったパーちん(堀家一希)に代わる参番隊隊長を決める「任命式」。前作の敵対組織「愛美愛主(メビウス)」の幹部だった稀咲(間宮)を参番隊隊長として迎え入れ、反対に仲間だった場地が東卍を脱退する、キャラクター同士の関係が大きく変化する場面だ。
手作業で落ち葉がまかれた境内には、東卍の黒い特攻服とブーツ姿のメインキャストとエキストラが集まり、東卍のステッカーが貼られたバイクが、続々と登場する。「『東京リベンジャーズ』が戻ってきた!」と胸が熱くなる光景だ。
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最初に、タケミチが東卍メンバーにのせられ、「もしかして、俺が次の参番隊隊長?」と胸を踊らせるコミカルなシーンの段取りが行われた。英監督は、タケミチに話しかける東卍メンバーのふたりに言い方のトーンなどを指示したあと、北村のリアクションを見て大笑い。熱いシリアスな部分と、軽いコミカルな部分のギャップが、本作の魅力でもある。笑いが生まれる和やかなムードで、撮影は進められた。
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続いては、メビウスの元メンバーを大勢引き連れ、稀咲が登場するシーン。拝殿前にマイキー、ドラケン、三ツ谷(眞栄田)の3人が並ぶ光景は、言葉を発さずとも、とてつもないオーラと威圧感を醸し出している。ブーイングが止まらない東卍メンバーをかき分けて、ゆっくり進み出る稀咲。すぐさまケンカが始まりそうな一触即発の空気が漂うが、ドラケンと三ツ谷が一喝し、場が静まり返る。英監督は、ギャラリーの反応を細かく調整。稀咲への敵対心・警戒心から、幹部の言葉を受け、渋々東卍入りを受け入れる……という空気の変化を演出した。
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現代の凶悪化した東卍を支配する稀咲。その未来を知るタケミチは、「稀咲を東卍に入れちゃダメだ」という必死の思いで、稀咲を殴るという“事件”を起こす。殴ったあとの一瞬の静寂で驚きを表現しようと、間宮と北村の動き、隊長3人とギャラリーの反応など、タイミングを確認していく。前作で稀咲は不気味に暗躍していたが、本作では遂に東卍に加わることになる。間宮はどのような思いで、このシーンに臨んだのだろうか。
間宮「前作での稀咲は東京卍會からは離れた立ち位置で、撮影の日数も少なく少人数でのシーンばかりだったので、今回の撮影でようやく映画『東京リベンジャーズ』の雰囲気に触れたという感じがしました。決起集会のシーンはこれぞ東リべ!といった様子で、その出来上がった場所に異分子として入っていくのは心地悪さと気分の良さが混じり合った不思議な感覚でした。前作はポイントでの出演でセリフの数も限られていた分、得体の知れなさが強調されていましたが、今作は割と出るし動くし喋るので稀咲の不気味さを維持するのに苦労したような気がします」
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さらに集会は、原作でも人気の高いキャラクター、場地が初登場するシーンでもある。北村、山田、吉沢は、永山演じる場地が集会に入ってきたときの空気を述懐する。
北村「永山さん演じる場地は人気キャラクターなだけに、すごくプレッシャーを感じていたのではないかなと思います。それを全く感じさせず二本足で堂々と立っていた。かっこよかったです」
山田「(ドラケンが場地を制止するセリフ)『おい、場地……』ってあぁ、いま僕はドラケンと一緒の思いじゃんと、自然にそうなっている自分がいました。永山さんとして見てなかったなぁ。もう場地だったんです、自然にもうそうだった」
吉沢「最初から現場の空気になじんでいて、今作から登場しているという感じがなかったです。危うさが全面に出つつ、どこか周りをほっておけないような雰囲気が出ていて、とにかく場地にぴったりで、めっちゃカッコよかったです」
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キャストたちからの賛辞を集めた永山は、どのような思いで演じていたのだろうか。
永山「原作を読ませていただいて、場地はすごく芝居のしがいがある役だなと思った一方で、この役を俺が演じたらどうなるんだろう?と同時にプレッシャーや不安も感じていて、正直楽なシーンはひとつもなかったです。衣装や髪型に助けられた部分ももちろんありますが、特注のマウスピースの八重歯(※場地のトレードマーク)を撮影前から付けて、少しでも場地に近づこうと意識しながら撮影に臨みました」
この集会シーンでは、キャラクターそれぞれの強い感情が渦巻いている。未来を変えるため、何としても稀咲の東卍入りを阻止したいタケミチ。何らかの思惑をもって、東卍内部に入り込もうとする稀咲。場地の東卍脱退宣言に戸惑うドラケンと三ツ谷。一見クールながら、実は誰よりも場地を止めたいと願っているマイキー。キャストたちがぶつかり合う狂おしいほどの熱演に、目を奪われる。
前作の熱はそのままに、強力な新キャストが加わり、さらなる“進化”を感じさせる撮影現場。そこには、前作の大ヒットへの慢心などあるはずもない。当初から「『血のハロウィン編』までを描きたい」という夢を実現させるために、想像を絶する重圧を背負ったキャスト・スタッフ全員が、ただ目の前のことにひとつひとつ、全ての瞬間を最高のものにするべく、取り組んできた。それはさながら、未来を変えるために、泥臭く立ち上がり続けるタケミチや東卍の仲間たちのよう。それぞれが経験を積み、成長し、「前作を超えたい」という強い思いを宿した「東京リベンジャーズ2」は、一体どんな未来を見せてくれるのか――。そんな期待を胸に、撮影現場をあとにした。
「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」は4月21日、「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」は6月30日に公開。
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