「呪詛」の恐怖は“感染”する ケビン・コー監督、演出のこだわり&次回作の構想明かす
2023年3月1日 13:00
「台湾史上最も怖い映画」と話題となった本作は、恐ろしい呪いから娘を守ろうとする母親の運命を、ファウンドフッテージの手法を盛り込みながら描いた作品。台湾では2022年の映画興収No.1大ヒットを記録し、台湾映画史上興収No.1のオリジナルホラー映画となった。Netflixでの世界配信開始後、数日の間に全世界の非英語映画ランキングトップ10入りを果たし、日本ではNetflixランキング1位を獲得。 「これまでで一番怖い」とSNSを賑わせるほど、世界中の人々を震撼させた。

今回のファンイベントは参加者へのプレゼントの反響もあり、倍率10倍を超える応募が殺到した。「呪詛」製作以降、初来日となったケビン監督は「日本のファンに直接感謝を伝えたかった」とのこと。まずは「呪詛」の成り立ちについて明かしてくれた。
「元々は短編として製作する予定でした。その時に考えていたのは“呪いをかける手紙”を映像の形式で表現すること。そして、それが“感染”して広がっていくさまを描きたいと思っていました。中毒性のあるものを作るためにリサーチを重ねていくなかで、高雄の事件の存在を知りました。その時に芽生えたのは『これ以上深入りしてはいけない』という気持ち。ホラーを作る自分でさえ、そう感じてしまう。この感覚が強烈に残りました。実際の事件における宗教、神様、触れてはいけないもの……そのようなものからインスパイアされて『呪詛』に生かすことにしました」

ケビン監督はJホラーの大ファン。「学生時代に撮ったホラーの短編作品は、まさにJホラーの影響を受けています」と話しつつ、「翻訳された『2ちゃんねる』のホラースレを読むのが大好きだった」「日本の怖い漫画を読んで育った」と明かす。そして「呪詛」に関しても「JホラーのDNAが組み込まれている」と告白。そして、観客から寄せられた「日本と台湾、ホラーの違いや似ている点は?」という質問には、このように応じてみせた。
「どんなジャンルでも、映画とは基本的にはそれぞれで違うもの。その前提であえて言うとすれば、日本のホラーは都市伝説をテーマにしているものが多い様な気がします。一方で台湾は小さい頃に皆が聞いた怖い物語をテーマにしている。共通点は、女性の髪の毛と皮膚。これが劇中での大事なポイントになっていると思います」

やがて話題は恐怖演出のこだわりについて及んだ。
「こだわったポイントとして挙げられるのは2つ。まずは宗教(=邪教)をどのように描くのかということ。大黒仏母をどういうビジュアルにするのか。宗教はどのような内容にするのか――最終的には色々な要素を組み合わせています。意識したのは『とても古いものであること』『身近に感じるもの』。例えば親戚や祖父母の家に行った時に『もしかしたら“ある”かもしれない』と思えることが重要でした。もうひとつは観客の皆さんが作品を見た時に“感染”しないといけないと思ったんです。例えば、映画のラストの方では“赤い文字”がたくさん出ますよね? あれは頭の中に残像として刻まれてほしいと考えて、設計したものです」
キーワードとなった「感染」。これはいくつかの段階を経て、観客を侵食していくようだ。
「最初は観覧車と電車のシーン。それを見ている間に、(観客は)知らず知らずのうちに映画の世界に組み込まれてしまう。その後は、全体を通じた“リピート”によって、さまざまなものが頭の中へと蓄積されていきます。最終的には、自分で意識しなくても頭の中に残っているという状態……具体的には赤い文字が出現した後、白い画面に変わっても、その残像が残っているような形です。こうすることで『見終わった後でも気持ちが悪い』というようなことを目指していました」


次回作もホラー作品を撮るというケビン監督。現在決まっていることは「テーマは“一番最初に怖いと思ったものは何か?”というもの。人それぞれによって内容は異なりますが、それは恐らく、その人物の一生についてまわるはず。そういったものをテーマに撮ろうと思っています」と明かしてくれた。

イベントでは、来場者全員に対して“幸せになれる”という「呪詛御守」をプレゼント。さらに、劇中に登場するマークの模写大会も開催され、最も近しい形を描いたファンには「大黒仏母」のフィギュア(現在制作中)が贈呈された。
「呪詛」は、Netflixで配信中。
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