劇場公開と配信、「マッドマックス」のジョージ・ミラー監督はどう考える? 新作についても語る
2023年2月15日 13:00
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のジョージ・ミラー監督による最新作「アラビアンナイト 三千年の願い」のプレミア試写会が2月13日、都内で行われ、ミラー監督がリモートで登壇し、本作について語った。
本作は、「アラジンと魔法のランプ」で有名なイスラムの説話集「アラビアンナイト」をモチーフに、ミラー監督が圧倒的な造形美と絢爛たる色彩美に溢れた壮大な「おとぎ話」の世界を作り上げた。
現在、「Furiosa(原題)」を製作中のミラー監督は、オーストラリア・シドニーからリモートで登壇し、「日本を訪れるたびに、映画や自分のフィルムメイキングについて学ぶことが多いので、今回もできることなら日本にお伺いしたかったです」と挨拶した。
「マッドマックス」の映像と音の迫力に衝撃を受け、ミラー監督のファンになったという人々も多いが、本作では魅惑的な映像に加えて、“ストーリーテリング”そのものが大きなテーマとなっている。その点について、ミラー監督は「小さい頃から、なぜ人は物語を語るのかということに興味がありました。それは人類に組み込まれているものだと思います。その『なぜ?』というエニグマ(=謎)を掘り下げてみたいという気持ちがありました。私には双子の兄弟がいますが、いまでも互いにいろんなことを語り合います」と、“ストーリー”への思いを語る。
また、近年、映画が劇場公開のみならず、配信にシフトしている点についてどう感じているかという質問には「人間のやること全てがそうですが、映画も常に変化・進化していくものです。今起きている変化は、およそ百数十年の映画の歴史の中でもめざましいスピードをもった変化ですが、そうしたシフトチェンジについては、作り手として常に念頭に置かなくてはいけないと受け止めています。逆説的ですが…」としたうえで、持論を語る。
「僕は(劇場公開と配信の)どちらも良いものだと思っています。人生のすべてに良いことと悪いことがあります。劇場で見知らぬ人と“パブリックドリーム”を分かち合うという行為が好きだし、みんなでひとつの物語をシェアするというのが映画体験だと思っています。周りの人たちが自分と同じように作品に入り込んでいるのを感じると、その思いが強くなります。一緒に笑い、涙し、緊張するシーンで身体を固くする、その体験が大好きだし、僕自身、この仕事をしている理由のひとつが、そういう作品を作りたいからです。同時に、たくさんの人が家で小さな画面で映画を見るということもわかっています。それの良いところは、細かいところまでチェックして見てもらえることです。1コマずつ観てダメ出ししたり新しい発見をしたり、そういう見方はすごく面白いことだと思いますし、映画を作る上で『誰かがきっとこれに気付いてくれるだろう』とそういう部分を意識しています。今回の映画でも、『3』というのが隠しアイテム的に使われていて、いろんなところに散りばめられています」
最後には、改めて日本のファンに向けて「今日はありがとうございました。みなさんの健康をお祈りしています」と挨拶し、舞台挨拶は幕を閉じた。
「アラビアンナイト 三千年の願い」は2月23日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
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