淺雄望監督「ミューズは溺れない」 ポレポレ東中野で単独公開決定
2023年2月2日 16:00
作品は、思春期のもがき、アイデンティティのゆらぎ、創作をめぐる葛藤などを抱えながら、社会の海へ漕ぎ出そうとする高校生たちの最後の夏を瑞々しく鮮烈に描き切った青春エンタテインメント。キャストは上原実矩、若杉凩、森田想ら。2019年に撮影を開始するも新型コロナウイルス感染拡大の影響により一時中断。2年がかりで完成した本作は、第22回TAMA NEW WAVEと第15回田辺・弁慶映画祭のふたつの映画祭でグランプリを含む6冠を達成した。
昨年9月16日から10月6日までテアトル新宿で開催された「田辺・弁慶映画祭セレクション2022」の大トリ作品として上映され、1週間限定にもかかわらず口コミで満席回も出るなど盛り上がりをみせた。その後も全国各地で上映が行われ、東京での凱旋上映を待ち望む声が高まるなか、ポレポレ東中野での単独公開が決定した。
同館での公開にあたって、大童澄瞳(漫画家)、萩原朔美(前橋文学館館長)、佐藤佐吉(映画監督・脚本家・俳優)が推薦コメントを寄せている。大童は「芸術や恋愛の中で幸運にも自己同一性の獲得を経験する少年少女の姿を希望的に描いた本作が、人生の目的や自分が何者であるのかについて考えそびれた人間のもとへ届くことを願う」。萩原は「今映画に必要なのは、こういう物語だ。最後に登場する魅力的な巨大なオブジェが、創造する事は他人を救い自分をも救ってくれる。そう言っていた」。そして佐藤は「ふたりの少女が互いを見つめるその真っ直ぐな視線が結果的に我々観客に突き刺さる。あなたはあなたなの? そう問われているようで震えてしまうのは恐怖なのか? いや恐らくまなざしのエクスタシー。でも最後は涙で震えてた」とコメント。
本作の自主配給・宣伝も手掛ける淺雄監督は「あの夏の海で、もがきながら踏み出した一歩が思いがけず爽やかで、彼女たちの方舟に、私もつい手を添えたくなったのだった。この歪な映画が誰かに辿り着くよう願いを込めて。出会ってくれた誰かに、私はまた救われるんだと思います」と熱い思いを述べている。
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