【「Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック」評論】ドラッグ&漫☆画太郎的ネタてんこ盛りで困窮生活を笑い飛ばす 痛快ガールズムービー
2022年12月25日 10:00

A24が北米配給した本作は、俳優として15年以上のキャリアを持つオーガスティン・フリッゼル監督の実体験を基にした、テキサスに住む10代の主人公ふたりが繰り広げるひと夏の物語。高校を中退し、ダイナーでアルバイトをしながら同居するアンジェラとジェシー。バイトのない時間はドラッグでハイになってエロ動画を見たり、友人たちとホームパーティで踊ったりと、その日暮らしを楽しむふたりが胸膨らませるのは、間近に迫るジェシーの誕生日のビーチ旅行。しかし、ツアー代金を家賃のためのお金で払ってしまい生活が困難になる。
最近の青春ガールズムービーといえば、「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」が記憶に新しいが、その優等生たちとは異なり、こちらのふたりの将来は見えず、生活はもっと刹那的だ。彼女たちの親は出てこないし、兄や友人はドラッグディーラーまがい、町の風紀委員のような大人からは、泥棒や娼婦のようだとののしられる。しかし、ふたりの友情と楽天的な性格のおかげで、悲壮感はゼロ。バイト先の店長も良い人なのが救われる。
トラブルだらけのふたりの数日間がテンポ良く描かれる本作のトーンは、ひたすらおバカで下品なのだが、困難な現実を生き抜くには何が必要か――そんな問いのヒントのようにも受け取れる。しかも笑いの頂点は、(敢えて活字にするが)うんことゲロと偶然遭遇した変態という汚物の三つ巴シーン。ホットパンツの似合う魅力的な女の子ふたりが漫☆画太郎作品のような場面を実演するのだ。お説教や道徳や同情心なんて持ち出さずに、彼女たちと共にひたすら笑い合える人には至福のラストが待っているだろう。
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