日本映画界の問題が浮き彫りに 第35回東京国際映画祭と日本映画監督協会が提携しシンポジウム開催
2022年10月31日 13:00

第35回東京国際映画祭が開催中の東京ミッドタウン日比谷で10月30日、日本映画監督協会との提携企画として「持続可能な“若手映画人の参入”へ向けての提言」と題したシンポジウムが開かれた。映画業界の改善すべき問題を語り、持続可能な若手映画人の参入に向けて、問題の共有と更なる連帯を呼びかけた。
現在、日本映画監督協会理事長を務める映画監督の本木克英氏は「以前は大手の映画会社がOJT(職務教育)をしていた」と振り返り、「それは企業にとって賭けであり、リスクも大きいが、その後どんな人材を生み出すか考えてこなかったツケが回ってきた」と指摘した。近年、問題化しているハラスメントの背景には、長時間労働や多くの映画人がフリーランスで働く中、契約者が交わさないといった労働環境の悪化があると分析し、「現在はNetflixにスタッフを育ててもらっている感覚もある」と業界全体の大きな変化にも言及した。
映画監督の有志が立ち上げた「日本版CNC設立を求める会」の共同代表である映画監督の諏訪敦彦氏は、「ハラスメントの問題に加えて、コロナ禍で窮地に立った業界が、互いに支え合うシステムがないという事実を改めて突きつけられた」と危機感をあらわに。「持続的可能なシステムを構造的に、映画業界に作っていきたい」と目標を掲げ、「映画の豊かさを支えるために、一番大切なのはアーティストを守ること」と力説した。
若手映画人の代表として、シンポジウムに参加した映画監督の内山拓也氏(「佐々木、イン、マイマイン」)は、企画・脚本を生み出す期間について「誰かがお金を出してくれるわけではなく、保証もない。助成金のシステムがないとは言わないが、潤沢ではなかったり、制度の複雑さもあり、浸透していない」とリアルな問題点を指摘。さらに「製作費が企画に見合っていないので、現場が大変になり、ひずみが生まれてしまう。映画の内容もやせ細り、表現や多様性が失われてしまう」と語ると、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの市山尚三氏も「企画段階でのサポートがないのは、日本映画界の大きな問題」だと同調していた。
本木克英(日本映画監督協会理事長)
諏訪敦彦(日本版CNC設立を求める会Action 4 cinema 共同代表)
内山拓也(日本版CNC設立を求める会Action 4 cinema メンバー)
浜田毅(日本撮影監督協会・日本映画制作適正化機構理事長)
SAORI(映画業界で働く女性を守る会)
林美千代(ブランドプロミス合同会社代表取締役)
市山尚三(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)
パク・キヨン(KOFIC 委員長)
松島哲也(司会/日本映画監督協会専務理事)
第35回東京国際映画祭は、11月2日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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