森次晃嗣、ウルトラセブンは「分身」 俳優としての葛藤乗り越え55周年に感無量
2022年10月29日 19:00
第35回東京国際映画祭ジャパニーズ・アニメーション部門に出品された「ウルトラセブン」55周年記念上映「ヒーロー」が10月29日、TOHOシネマズシャンテで行われ、モロボシ・ダンを演じた俳優の森次晃嗣が出席。撮影当時の貴重な裏話や、55年の時を経た現在の心境、ウルトラセブン/モロボシ・ダンへの思いを語った。
1967年の撮影当時、20代前半だった森次は「当時の自分が持っているものすべてを画面にぶつければ、モロボシ・ダンになれるんじゃないか。そんな思いしかなかったですね」としみじみ述懐。始発電車に乗り、撮影現場に足を運び、帰宅するのは深夜。そんな過酷な日々を「1年間頑張れば、次の道が見えてくるのではないかという思いで、何しろ一生懸命に頑張った」と振り返り、「隊員服が熱すぎるんだよね(笑)。夏場は素肌に直接来ていた」と苦労も明かした。
長年、「ウルトラセブン」が愛される理由は「脚本の面白さ」と断言。「僕としても良い時代に、モロボシ・ダンに遭遇できた。関わった皆さんの中には、亡くなった人もいらっしゃるが、こうして愛される作品として残っていることを、うれしく思わなくてはいけない。本当、僕のことはいいんですよ」と語った。
また、自身にとってウルトラセブンは「分身」だといい、「それを背負っているのは、つらいこともある。『あっ、ダンだ』って追いかけられたり、写真を撮られたり。嫌なこともあったが、それを超越して、すべての人に感謝したい」と葛藤を乗り越え、今に至る55年の歳月に思いをはせた。それだけに、映画祭初日に行われたレッドカーペットを、“分身”ウルトラセブンと歩けて「感激しました。うれしかったですね」と感無量の面持ちだった。
この日は「ヒーロー」というテーマを切り口に、「セブン暗殺計画」前後編、そして最終話にあたる「史上最大の侵略」前後編の全4作品が上映され、チケットは完売。特に最終話には強い思い入れがあるといい、「正義、勇気、希望。そんな言葉が浮かびますね。満田さん(満田かずほ監督)がダンとアンヌの淡い恋愛模様を撮ってくれていて、それがうまく最終回につながった」と理由を説明した(※満田かずほ監督の「かずほ」の禾へんに「斉」)。
1974年から放送された「ウルトラマンレオ」では、モロボシ・ダン“隊長”として出演。「最初は別の役名だったが、『モロボシ・ダン隊長として演じさせてもらえるなら、お受けする』とお話した。僕の意見が採用されて、怪獣のせいで足を負傷し、杖を突く設定でしたが、疲れましたよ。言わなきゃ良かった(笑)」と茶目っ気たっぷりに貴重なエピソードを披露していた。
第35回東京国際映画祭は、11月2日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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