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「ヴィーガンズ・ハム」最初から最後まで面白さが途切れない【人間食べ食べカエルのホラー映画コラム】

2022年10月20日 20:00

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「ヴィーガンズ・ハム」
「ヴィーガンズ・ハム」
(C)2021 – Cinéfrance Studios – TF1 Studio – Apollo Films Distribution – TF1 Films Production – Chez Félix Cinéfrance SAS – Cinéfrance Plus – Cinéfrance 1888

Twitterのホラー界隈で知らぬ者はいない人間食べ食べカエル氏(@TABECHAUYO)によるホラー映画コラム「人間食べ食べカエル テラー小屋」では、“人喰いツイッタラー”が、ホラー映画専門の動画配信サービス「オソレゾーン」の配信中のオススメ作品を厳選し、その見どころを語り尽くす! 今回は特別編として、10月21日より開幕する「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2022」で上映される注目作「ヴィーガンズ・ハム」をご紹介します。

皆さんは人肉飯店映画というジャンルをご存じだろうか。名前自体は今私が書きながら勝手に考えたので存在しないが、そういう系統の映画がいくつか存在する。一番有名なのは、香港が誇る超問題作「八仙飯店之人肉饅頭」だろう。

「八仙飯店之人肉饅頭」
「八仙飯店之人肉饅頭」

実際にマカオで起きた事件をモチーフにしたこの作品では、人肉を原材料にした饅頭が提供される。他にもイギリスの小説に登場し、2度にわたって映像化もされた「スウィーニー・トッド」では、殺した相手の死体が人肉入りのパイとなり店で提供された。タイ製作の映画「人肉ラーメン」には、その名の通りのラーメンが登場。捕まえた人間に下味をつける丁寧な描写が光る逸品だ。他にも人間ケバブが作られる「ザ・シェフ 悪魔のレシピ」など例を挙げればキリがない。殺人の証拠を隠滅できて、さらに原材料の節約もできるというのが、殺し手にとっては魅力的に映るのだろう。そんなエクストリームな界隈に、更に尖りまくったヤバイ映画が殴り込みをかけてきた。今回紹介するのは、フランスが放つ人肉飯店の新星映画「ヴィーガンズ・ハム」である。

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ヴィンセントとソフィーの中年夫婦が営む肉屋は経営が厳しく、更には過激派ヴィーガンの襲撃にも遭っていた。そんなある日、二人が車を運転しているときに、以前店に殴り込んできたヴィーガンの一人を発見。勢いに任せてそいつを轢き殺し、その死体を店に持ち帰る。そして、テレビ番組で観た死体解体をして証拠隠滅する方法を参考に、肉体をバラバラにするのだった。その翌日から肉屋は大繁盛! 新商品として出されたハムが美味しいと評判を呼び、店には長い列ができたのだ! そのハムが一体何でできているか。ご名答、ヴィーガンの人肉です!! そして夫婦は、新たなハムの“原材料”を調達するため、他のヴィーガン活動家たちを次々と狩猟していくのだった……。

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いやー、よくこんな設定の映画を作ることができましたね。流石に大丈夫かこれ……と思わず心配になる内容である。しかし、そんな過激な設定とは裏腹に内容自体はかなり軽いノリ。あくまでも「人肉ハムがすげえ売れる! どんどん原材料(※人間です)を調達しなきゃ!」と人狩りに奔走する夫婦の姿が物語の中心だ。食肉とは、採食とは等といった倫理を問うような部分はあまり深く突っ込まず、ただただ、ぶっ飛んだ肉屋夫婦の日常ドラマを楽しむ作りとなっている。

人肉ハムで店が繁盛してから、冷め切った夫婦仲が少しずつ改善していく様子は、起きている出来事とは裏腹にハートフルさすら感じられる。このユニークな味付けが結構好みだ。ダイジェスト的に、ヴィーガン狩りデイズを爽やかに見せていく演出もかなり冴えている。起承転結の構成の中に、日常系カニバリズムお店切り盛りハチャメチャライフを丁寧に盛り込み、1本の映画としてちゃんとまとめる手腕が見事だ。

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終盤になると色々な問題が噴出し、やがて暴と暴のぶつかり合いに発展していく。これまでの微笑ましいノリから一転して、シリアスな方向に切り替わっていくのだが、この転換を自然に描いているのも巧い。クライマックスが一番手に汗握るように作られているのも評価したい点だ。人肉ハムで大繁盛! という掴みバッチリな展開から、どう話が転がって、どうオチがつくんだ……と上手く作り手の掌で転がされてしまう。そんな紆余曲折の果てに迎えるあっけないラストも皮肉が効いていて面白い。最初から最後まで面白さが途切れなかった。

本作について私から伝えたいことは、この映画は決して出オチではない!ということだ。内容だけで話題を呼ぶのは間違いないが、中身もしっかりと詰まっている。夫婦のキャラ描写とストーリーもちゃんと連動しているため、思った以上にドラマにも引き込まれる。話題に乗って鑑賞したら「意外と面白いじゃん!」となる枠だと思う。事実、私はそうなった。カニバリズム系の描写に耐性がある方にはお勧めの作品だ。

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