「私にダイアナ役を演じさせるなんて、クレイジーなの!?」 クリステン・スチュワートが明かす役作りと裏話
2022年10月13日 12:00
「スペンサー ダイアナの決意」でダイアナ元皇太子妃を演じたクリステン・スチュワートが撮影を振り返り、オファーを受けた当時の心境や撮影の裏話を語った。
1997年8月31日、ダイアナ元皇太子妃が交通事故で亡くなったというニュースは世界中に衝撃を与えた。スペンサー伯爵家の令嬢として誕生し、20歳でチャールズ皇太子と結婚すると瞬く間に人気者となったダイアナ。本作では、ダイアナがその後の人生を変える決断をしたといわれる、1991年のクリスマス休暇を描く。
スチュアートは、本作で第94回アカデミー賞の主演女優賞に初ノミネートを果たした。オファーがきたときのことを「私にダイアナを演じさせようなんてパブロ(監督)はクレイジーなの!?と思いました(笑)」とジョークを飛ばしつつ、「でもパブロには、伝染させるような確信がありました」とパブロ・ラライン監督への信頼を語る。「とにかく挑戦してみなければと思ったし、彼を不安にさせるようなことは言いたくなかったので、私にはYESと言うしか選択肢がありませんでした。あまりにもキラキラして魅力的なオファーだったので、やらないわけにはいきませんでした。すっかり惹き込まれてしまったのです」と主演を引き受けた理由を明かす。
ダイアナが亡くなった時は、まだ7歳の少女だったクリステン。彼女の印象について、「元々この映画の制作に入る前まで、私はダイアナのことをとても美しくてクールな人だとは思っていましたが、それ以上の印象は持っていませんでした。彼女が亡くなった時に世界に衝撃が走ったことは、幼いなりに覚えています」と語る。オファーを受けてからダイアナについてリサーチを始め、「彼女の発言や行動を調べているといつも感心させられました。どれだけ彼女を好きになったことか! 彼女はおそらく、王室の中で最も普通で、皮肉なことに、それが人々に親近感を抱かせ、力を与えていたのでしょう。彼女が人々と接すると、突然世界が繋がって、美しい場所のような感覚が生まれたんだと思います」と、改めて知ることになったダイアナの魅力を分析する。
撮影中の思い出については、「奇妙なことに、ダイアナになりきることは、重く、辛く、疲れることでしたが、他のどの映画よりも、私は彼女を演じている自分の身体に対して喜びを覚えました」と明かす。役作りについても、「ダイアナのしゃべり方のアクセントはとても技術的で簡単に真似できるものではありませんでした。彼女の発音をしようと思ったら、唇や喉、舌など、あらゆるものをこれまでとは違う方法で使って、まったく新しい筋肉の使い方を学ばなければならなかったのです。まるでトレーニングでした。普段の私は役作りに長い時間をかけるような人間ではないのですが、今回はまるでバク転を学んでいるかのように体を張って頑張りました」と笑う。
アメリカ人であるスチュワートが、世界中で今も愛され続けるプリンセスを演じることについて、「撮影中は、自分ができるベストを尽くすしかありませんでしたし、その瞬間に応じて正直になるしかありませんでした。ダイアナについてはイギリス国民、そして世界中の誰もがそれぞれの考えを持っています。回顧録もインタビューもあって、王室の人間でなくてもこの題材についての捉え方があります。ダイアナは人々にとって、生まれながらの救世主のような存在だったので、誰しもが彼女に対しての強い思い入れを持っているのだと思います。私も他の人に負けないくらい彼女に思い入れがあるし、自分なりの意見もある。彼女を演じることは、地雷がたくさん隠されている大地を進んでいるような感じがしましたが、とにかく駆け抜けるのみでした」と、相当な覚悟と勢いを持って演じた。
映画の見どころのひとつでもある、豪華絢爛な美術や衣装・ヘアメイクが演技を助けてくれたそうで、「こんなに美しい映画に出演したことはありません。工芸品のようなウィッグやドレスに身を包んだことも初めてです。セットも本当に素晴らしくて、役に心から深く入り込むことができました。ダイアナにとってサンドリンガム・ハウスは苦しい場所だったけれど……撮影が始まると同時に、魔法がかかったようにその詩的な世界に入り込めたんです。そして、理性的に物事を理解しようとするのをやめて、ただただダイアナとして生きているような、彼女に導かれていくような言いようのないような気持ちになりました」と感慨深そうに振り返っている。
しっかりと役作りに時間をかけ準備をしつつも、撮影に入ってからは感覚的にダイアナとして生き抜いたと語るスチュワート。世界中から愛されたダイアナがスクリーンの中に蘇ったかのような彼女の熱演に注目だ。
「スペンサー ダイアナの決意」は、10月14日から公開。
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