1100万のユダヤ人絶滅政策に“全員異議なし” ヴァンゼー会議を映画化「ヒトラーのための虐殺会議」予告
2022年10月7日 07:00
1100万ものユダヤ人絶滅政策を決定した“ヴァンゼー会議”を題材とした映画「ヒトラーのための虐殺会議」の日本版ポスタービジュアルと予告編が、このほど披露された。
1942年1月20日正午、ドイツ・ベルリンのヴァンゼー湖畔にある大邸宅にて、ナチス親衛隊と各事務次官が国家保安部代表のラインハルト・ハイドリヒに招かれ、高官15名と秘書1名による会議が開かれた。議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」について。「最終的解決」はヨーロッパにおける1,100万ものユダヤ人を計画的に駆除する、つまり抹殺することを意味するコード名だ。移送、強制収容と労働、計画的殺害など様々な方策を誰一人として異論を唱えることなく議決。その時間は、たったの90分だった。
本作は、アドルフ・アイヒマンによって記録された会議の議事録に基づき、80年後の2022年にドイツで製作された。その議事録は、1部のみが残されたホロコーストに関する重要文書となっている。
予告編は、ヴァンゼー湖畔に立つ大邸宅の一室に、親衛隊少佐のルドルフ・ランゲ、親衛隊中佐のアドルフ・アイヒマンやハインリヒ・ミュラー、司法省、内務省、外務省など政府省庁の代表らエリート高官が次々とやってくる場面からスタート。「やれやれユダヤ人問題か」とつぶやく者。「こいつは好かん、下座だ」と会議の席を決める者。「まるで職場の飲み会だ。互いの腹を探り合うのさ。ビールなしでさ」と話す者。そこで繰り広げられる光景は、まるで“ビジネス会議”のようだ。
異なるのは“その議題”だけ。「ユダヤ人問題の打開には、“最終解決”しかあり得ません」と会議のホストであるハイドリヒが強く語り、「1100万人」のユダヤ人処理が提案される。続いて「移送」「強制収容と労働」「計画的殺害」という恐ろしい計画があたかもタスクのように、出席者全員の異論なく淡々と話し合われていく様子が映し出されていく。「お孫さんに話せますよ。歴史が変わる瞬間を間近で“体験した”とね」という言葉は、戦慄の実話の本質を物語っている。
本作のプロデューサーは「ドイツの歴史の中で最も暗い章であるヨーロッパでのユダヤ人殺害と迫害の聴衆、この会議が果たした役割を私たちは忘れてはならない」と語っている。
「ヒトラーのための虐殺会議」は、2023年1月20日から新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開。