盲目の少年が見ている世界を表現したVRアニメーション、ベネチア映画祭VRコンペ部門に選出
2022年7月27日 19:00

講談社VRラボ企画制作によるアニメーション「Thank you for sharing your world」が、第79回ベネチア国際映画祭のVRのコンペティション部門であるVENICE IMMERSIVE部門に選出された。
小学生の頃に病気で視力を失った主人公タカシと、シンジという軽度の自閉症の幼なじみの物語。監督作「神さまの轍」(18)、脚本作「光を追いかけて」(21)、「アライブフーン」(22)、NHKテレビドラマ「ペットにドはまりして、会社辞めました」(22)などを手掛けた作道雄監督が、本作で挑んだのは盲目の少年が見ている世界をVRで表現すること。「目の見えない人は実は想像力豊かに色鮮やかな世界に生きている」というインタビューをきっかけに、入念な取材を実施しオリジナルストーリーを創作した。声の出演は中川翼、岡山天音。
2019年12月から企画開発が始まり、途中、コロナ禍で制作が中断したものの、アニマティクスを実施するなどプロデューサーを始め、制作チームの妥協しない粘りもあり、盲目の少年の想像力によって広がる美しい世界をCGアニメーションとインタラクションで実現した。受賞作品の発表は9月10日に発表される。
2023年中旬頃、全世界に向けてオンライン配信予定。

■石丸健二プロデューサー
目の不自由な方々がどのように世界を「見ているのか」。お話を伺うと、盲目の世界は自分が思っていたものと大きく違っていました。個人差はありますが、彩りがあり、360度で世界を知覚し、足の裏で地面の傾きを感じる。とても興味深く、それでいて決して覗き見ることができない世界。これはVRというメディアで実現すべき題材だと、確信しました。本作の盲目の世界は一つの解釈ではありますが、このVR体験を通じて、何らかの発見や視野を広げるきっかけになればいいなと考えています。
10歳で視力を失った主人公は、周囲の音や嗅覚、見えていた頃の記憶を頼りに生活をしています。彼の認識する空間はいわば、自分一人の想像の世界なのだろう。そんな直感が、企画段階の最初にありました。その上で、その世界をどうやってVR的体験として立ち上げていくか。想像の世界には、何が起きるか予測できない怖さもあるし、現実と乖離が生まれることもあるでしょう(そういったところも演出に盛り込みました)。様々なアプローチを試みながら制作を進めていくうちに、感じたことがありました。それは、想像の世界の住人が主人公ひとりだけだとしても、誰かと一緒に生きることで感じる喜びは、彼の世界を十分に彩ってくれるのではないか、ということ。タイトルに込めたのも、そういった思いです。
次第に色づいていく主人公の世界を、多くの方にshare出来れば嬉しいです。
フォトギャラリー
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

日本よ、これが本物の“悪”だ
【拷問、殺人、裏切り、粛清】超刺激的な“史上最大ヒット作”、観たらすごかった…!
提供:JCOM株式会社

何だこのむちゃくちゃ“刺さる”映画は!?
【尋常でなく期待してる】人類滅亡…“命より大事な誰か”のためなら自分の限界を超えられる。
提供:ディズニー

阿部寛、今度はAIを騙す、10秒で。
【クセ強演技の達人芸】予告編だけでこんな観たくなること…ある!?狂おしいほど面白そう
提供:ティ・ジョイ

たった“1秒”で爆発的に話題になった映画
【この夏、絶対に観るやつ】全世界が瞬時に“観るリスト”に入れた…魅力を徹底検証!
提供:ワーナー・ブラザース映画

でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
【あり得ないほど素晴らしい一作】この映画は心を撃ち抜く。刺すような冷たさと、雷のような感動で。
提供:東映