ドゥニ・ビルヌーブの出世作「灼熱の魂」デジタルリマスター版 衝撃的なドラマの幕開けを映す予告編
2022年7月12日 13:00
「DUNE デューン 砂の惑星」「ブレードランナー 2049」「メッセージ」などの話題作で知られる名匠ドゥニ・ビルヌーブの出世作「灼熱の魂」デジタルリマスター版の予告編が公開された。
原作は、レバノン出身の劇作家ワジティ・ムアワッドによる戯曲「Incendies」。民族や宗教間の紛争、社会と人間の不寛容がもたらす血塗られた歴史を背景に、その理不尽な暴力の渦中にのみ込まれていった女性ナワル・マルワンの魂の旅が描かれる。第83回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、カナダ版アカデミー賞であるジニー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞など8部門独占を果たしたほか、30か国以上の映画祭で上映され高評価を獲得。胸を引き裂かれるほどの圧倒的なインパクトのみならず、残された姉弟が自身の出生にも関わる秘密を紐解いていくミステリーとしても超一級の作品をスクリーンで堪能できる貴重な機会となる。
初老の中東系カナダ人女性ナワル・マルワンは、ずっと世間に背を向けるようにして生き、実の子である双子の姉弟ジャンヌとシモンにも心を開くことがなかった。そんなどこか普通とは違う母親は、謎めいた遺言と2通の手紙を残してこの世を去った。その2通の手紙は、ジャンヌとシモンが存在すら知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。遺言に導かれ、初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、母の数奇な人生と家族の宿命を探り当てていく。
予告編は、残された双子の姉弟であるジャンヌとシモンが、その遺書を受け取り「父親は生きている」「君には兄がいる」というそれまで全く知らなかった事実を聞かされる場面から始まる。一枚の写真を手がかりに、初めて母親の祖国の地を踏むことになるふたり。映像は、若き日のナワルが生まれたばかりの我が子との再会を誓いながら引き離されるしかなかった悲劇、余りに壮絶で数奇な人生の一端と、母の故郷を訪れたジャンヌが母が拒絶された存在だったことを知る場面などを、現在と回想を交錯させながら映し出す。
ビルヌーブ監督は、11年の公開当時、「『灼熱の魂』は、ジャンヌとシモンが母親の憎しみの根源へと至る旅でもあります。そこでふたりは憎しみと暴力にあふれた家族の歴史を再構成し、永遠に残る傷を負うことになります。これはとても普遍的なテーマで深く心を動かされました。しかし、脚本の中のドラマティックな要素のバランスを取るのにずいぶん長く時間がかかってしまいました。何しろひとつひとつのシークエンスがそれぞれ1本の映画の素材になりえるほどですから」とコメントしている。
8月12日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
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