「トップガン マーヴェリック」観客は空へと投げ出された【「4DX SCREEN」体験記】

2022年6月25日 12:30


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トップガン マーヴェリック」の「4DX SCREEN」は公開4週目を回っても、連日ほぼ満席の大盛況となっている。そこまで人々を引き付ける理由とは? 実際に体験した筆者が、その魅力を伝えていこう。(文:蛯谷朋実)

※「トップガン マーヴェリック」の作中の表現に言及しております。未見の方はご注意ください。

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まずは、「4DX SCREEN」の紹介から。「4DX SCREEN」は、体感型アトラクションシアター「4DX」と3面マルチプロジェクション上映システム「ScreenX」が一緒になった上映形式である。座席は前後左右に傾き、水しぶきが飛び、匂いも香ったりする上に、目の前のスクリーンは左右の壁にまで映像を映し出す。つまり、五感をこれでもかと刺激する映画体験ができるということだ。

実は、筆者、大の「4D」好きである。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」は、「4DX」で7回鑑賞。「スターウォーズ フォースの覚醒」は、「MX4D」と「4DX」を比べるために、劇場をはしごしている。

しかし、「4DX SCREEN」はまだ未経験。「トップガン マーヴェリック」を一度鑑賞した後に「あ、これは初めての『4DX SCREEN』鑑賞にうってつけだ」と感じたのだ。

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だが、ここからの道のりが長かった。日本で「4DX SCREEN」が楽しめるのは、グランドシネマサンシャイン池袋、シネマサンシャインららぽーと沼津、109シネマズグランベリーパーク、アースシネマズ姫路の4館のみ。とりあえず家から一番近い、グランドシネマサンシャインに行こうと決めた。

せっかくなら「4DX SCREEN」をより楽しめる中央・後方寄りで鑑賞したいと考え、チケットスケジュールを開いた。だが、座席を選ぶ余裕などない。土日であれば一般チケット販売から20分足らずで、1日3回上映されている全席が完売してしまう。

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「平日昼間なら余裕だろ」とタカをくくって翌日のチケットを調べてみても、もはや一番前の端しか空いていない有様。「4DX SCREEN」での鑑賞は通常鑑賞料金にプラス1500円となかなかの高額にもかかわらず、この勢い。こんなにも人々を魅了するものとは、一体何なんだ。ますます期待を高め、何とかチケット販売に合わせて平日昼の回の席を確保した。

当日、意気揚々とグランドシネマサンシャイン池袋を訪れた。映画鑑賞といえばポップコーン。私は毎回といっていいほどポップコーンセットを購入して映画鑑賞に挑む。よく訪れるユナイテッド・シネマ豊洲では、「4DX」鑑賞の場合、ポップコーンのカップを袋に入れてくれる。今回もその方式だと思っていたが、グランドシネマサンシャインでは、特にそのようなことはない様子。カップに山盛りとなったポップコーンを、そのまま座席へと運んだ。上映時間になってからが勝負だ。魅力的な新作映画の予告編が流れる中、本編前のデモンストレーションのような「4DX」の始動に向けて、多少の揺れなら耐えられるレベルの量までポップコーンを減らさなければならない。ひたすらに食べた。

いよいよ、低いモーター音のようなものとともに座席が動きを始める。7月29日に公開される「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」とコラボレーションした「4DX」のデモンストレーション映像とともに座席が揺れ、水が噴き出した。この時点で場内の熱気が変わる。座席の動きに人々の感嘆の声が漏れる。実はこの瞬間、私はいつもニヤついてしまう。おそらく初めて「4D」を体験したであろう人々の驚きの声に、「君らもとうとうこちら側(体験した者)にきたか」と――。ちなみに、私のポップコーンは無事こぼれなかった。

「ScreenX」のデモンストレーションが始まる。平面的な映画の世界観に、左右の映像が加わるだけで、こんなにも没入感が深まるのか。期待が高まる。以前「ブラックパンサー」で「ScreenX」を体感したとき、あたかも航空機に乗っているかのような感覚に陥った。改めて、今回のデモンストレーションで気持ちがたかぶる。

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待ちに待った本編が始まる。主題歌「デンジャーゾーン」に合わせて展開する、前作「トップガン」を彷彿とさせるオープニングが、3面スクリーンに映し出される。初見でも興奮したオープニングだったが、3面で展開されただけで、新鮮な驚きと感動、興奮が胸に湧き上がる。「デンジャーゾーン」の盛り上がりに合わせ、座面からは体に響く振動。開始早々、気分は大いに舞い上がる。

大興奮の中、マーヴェリックが操縦する戦闘機が、マッハ10を目指して空へと飛び立つ。操縦席から見えるのは、どこまでも続く美しい空。マーヴェリックは、いつまで経っても空に心奪われている。その心情に納得せざるをえない景色だ。これも通常のスクリーンでは、知り得なかった感覚。戦闘機は、徐々にスピードを上げる。座席もそれに伴い動く。「今、私はマーヴェリックとともに空を飛んでいる」。そう思わざるを得ないような体験だった。

「ScreenX」はすべて、全シーンが3面とは限らない。ドラマシーンでは、正面のみの映像になるのだが、その分、登場人物たちにまっすぐ気持ちが向いていく。グッと集中力が増し、役者たちの表情にしっかりと視線を注いでしまう。

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一方、空中のシーンはほぼすべてが3面展開になっている。観客の意識は、空へと投げ出される。戦闘機の動きとともに動く座席、目の前に広がるコックピットからの景色――ここが映画館であることを忘れてしまいそうだ。

物語の佳境となる“ほぼ不可能に近いミッション”に挑むシーンが訪れた。敵の対空ミサイルに感知されないように、急上昇した後、背面飛行で急降下。一回転する飛行機。私も一回転した――と脳が錯覚を起こすほど。しかも、4機が回転する。自分がどうにかなってしまうんじゃないかと思った。しかし、それと同時に興奮はピークに達し、マーヴェリックの「考えるな!」というセリフが頭に鳴り響く。そう、何も考えず、ただただこの世界に没頭するのみだ。

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高揚感が持続したまま、映画は幕を閉じた。あっという間の「4DX SCREEN」体験。しかし心地よい疲れを感じさせてくれる時間だった。2度目の鑑賞とは思えないほど、新鮮な心持ちで劇場を後にする。

私は、映画を“見た”のではなく、間違いなく“体感”した。遠出することも叶わず、刺激に飢えていたが、こんな近場で別世界を見せてくれる場所があったとは……。すがすがしい気持ちのまま、友人に連絡。「4DX SCREEN」で一緒に“空に投げ出される”約束を取り付けた。

グランドシネマサンシャイン 池袋の上映スケジュール( https://eiga.com/theater/13/130501/3291/
シネマサンシャインららぽーと沼津の上映スケジュール( https://eiga.com/theater/22/220301/4177/
109シネマズグランベリーパークの上映スケジュール( https://eiga.com/theater/13/130801/3294/
アースシネマズ姫路の上映スケジュール( https://eiga.com/theater/28/280401/5122/

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