自宅軟禁中に脚本執筆 ロシア鬼才がポスト・ソビエト時代を描く「インフル病みのペトロフ家」4月23日公開

2022年1月20日 10:00


海外版ポスター
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第74回カンヌ国際映画祭コンペティション出品作で、CST Artist Technician Prizeを受賞した「LETO レト」のキリル・セレブレンニコフ監督の「Petrov's Flu(英語題)」が、「インフル病みのペトロフ家」の邦題で4月23日公開される。

セレブレンニコフ監督はロシア演劇界の鬼才であり、「The Student」(2016/日本未公開)や「LETO  レト」(18)でカンヌをはじめとする数々の映画祭で多数の賞を受賞。2012年からは、若くしてモスクワのゴーゴリ・センターの芸術監督に任命された鬼才演出家でありながら、17年に国からの予算を横領した疑いで逮捕されて自宅軟禁状態に。日本でも公開された「LETO  レト」がカンヌで絶賛され、サウンドトラック賞最優秀作曲家賞を受賞した際には、多くの映画人がセレブレンニコフの無罪を訴え、解放を求めたがカンヌには参加できなかった。本作の脚本は、その軟禁という不条理な環境の中で書いたという。

原作は、2016 年に発売され、ロシア文学界でセンセーションを巻き起こしたアレクセイ・サリニコフによるベストセラー小説「Петровы в гриппе и вокруг него(インフル病みのペトロフ家とその周囲)」(邦訳未出)。ソビエト崩壊後、2004年のロシア、エカテリンブルグで、インフルエンザが流行する中、主人公のペトロフは高熱にうなされる。妄想と現実の間を行ったり来たりするうちに、次第にペトロフの妄想は、まだ国がソビエトだった子供時代の記憶へと回帰していく…という物語。

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映画は、ロシア社会への強烈な風刺を孕みながら、妄想と現実の境目が曖昧な原作の世界観をそのままに、型破りな芸術的感性と刺激的なアクションに彩られ、強烈なインパクトに溢れている。いくつものプロットが絡み合い、頻繁に幻覚のトリックにすり替わっては次々に展開され、熱に浮かされたような刺激的な映像体験をもたらす。カンヌ国際映画祭で芸術的貢献賞に値するCST Artist-Technician Prizeを受賞。上映後、アメリカのザ・プレイリスト紙は「映画の熱病的譫妄。(中略)純粋で、粗野で、心かき乱す映画」、イギリスのリトル・ホワイト・ライズ誌は「驚くほどに奇妙な、ポスト・ソビエト時代のロシア像。幻想的で、刺激的。息を呑む映画作りだ」と絶賛している。

4月23日から、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

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