四肢軟骨無形成症の青年による初主演・初監督作であり遺作となった「イケダ」 東京凱旋アンコール上映決定
2021年11月17日 08:00

四肢軟骨無形成症の青年・池田英彦の初監督、初主演作であり、遺作となった「愛について語るときにイケダの語ること」が、11月26日から、アップリンク吉祥寺にて、東京凱旋アンコール上映が行われることが決定した。
生来の障害(四肢軟骨無形成症:通称コビト症)を持つ池田さんは、39歳の誕生日目前、スキルス性胃がんステージ4と診断された。「何もしなければ余命2カ月」。それを機に、映画とカメラに目覚め、自らを被写体としてドキュメンタリーの撮影を開始。自分と女性のセックスをカメラに収める“ハメ撮り”を映画として遺し始める。

元々は、たった一度の上映イベントで終わるはずの映画だった。しかし、2020年12月、今はなきアップリンク渋谷で行われた上映イベントが発売1日でソールドアウト。観客の熱烈な支持を得て劇場公開となった。21年6月25日からアップリンク吉祥寺にて2週間の予定で開始したロードショーは連日豪華なトークゲストの応援もあり、好評を受けて初日3日間は全回満席、6週目まで延長された。パンフレットは、観客の約40%が購入するという驚異的な売り上げを記録した。


障害・セックス・死という“タブー”を監督兼主演の池田さんが自らさらした本作は、見る前のハードルが非常に高いと言えるだろう。だが、映画にはポップで軽妙な池田さんの魅力があふれ、笑える作品となっているのだ。映画のタイトルは「イケダ」という略称で呼ばれるようになり、「映画館にくればイケダに会える」という追っかけ的なファンも生まれた。また「人を愛するということがわからない」「うまく人を愛せない」という悩みを持つ、若者たちの共感も数多く得てきた――本作は「愛について」の映画なのだ。

東京での勢いのまま、“イケダ”は全国18カ所の映画館を巡った。今回の凱旋上映は、各地での反響を受けて実現したものだ。東京でのアンコール上映後は、横浜ジャック&ベティほか、全国の映画館を再び回る予定。なお、アンコール上映を受けて、安藤玉恵、落合陽一、中村うさぎらからの応援コメントも届いている。
人が生き、人が死んでいく中でどういった思いを抱えていくのか。死と向き合って何を始めるのかは人それぞれだけれど、生の声や悩みや人間性が凝縮されたフィルムから得られる死と生の肉薄と、そこに時折垣間見える歪んだ人間性の美しさが、まさしく人間讃歌的でもあるし青春映画でもあると思った。
観る前は少し身構える感じもあったけど、笑いに笑って清々しい気持ちで家路に着いた。まるで漫才のようなやり取りや、真野さんの眼差し、イケダさんのユーモア。映画中の行為の全てには賛成できかねるけど、でもその中でも、イケダさんの諦念と明るさは、私の胸にしっかり刻まれている気がしています。
死ぬ時は心も裸になるんだねぇ。
“むきだし”の映画だ。イケダのからだ。イケダの思い。イケダのセックス。イケダの闘病。イケダの……。時に目を背けたくなるが、目を離せない。一方で、そこにフィクションが組み込まれていることに愕然とする。何が本当で何が嘘なのか。女性の告白に答える場面で、初めてイケダの「素」が見えた気がした。イケダは去り、映画は残った。さて我々は?
どのジャンルの作品でも、少し時が経つと内容をだいぶすっぽりと忘れてしまう癖があるんですが、この映画は観て何ヶ月も経ったけど、イケダさんのこと、鮮明に覚えてます。めちゃくちゃ面白かったですよ、この映画。時たま思い出しては、イケダさんに会いたいなーなんて考えたりしてる自分がいます。あれ? 俺、イケダさんの策中にまんまと、はまっちゃってる??まあそれもいいか!はめてくれてありがとう、イケダさん。また観て、会いに行きますね。
最近、法医学の研究もしている身として、人の死に驚くほど「不感症」になっていた私が、久々に映像で再会したイケダさん。その死にゆく男の表情に目頭が熱くなった。生前、食事をしながら女性との交わりについて哲学的に語り、欲をむき出しにした生き様を私にも見せつけたイケダさんが、死の淵のベッドで女優のグラビアを真剣に見つめる姿に救われた気がした。イケダという一人の男が生きた証をぜひ感じていただきたい。
(C)2021 愛について語る時にイケダが語ること
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