アフガン女性の未来への希望を描く傑作アニメ「カブールのツバメ」 10月8日から1週間限定で特別上映
2021年10月2日 19:00

2019年・第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品されたアニメ―ション映画「カブールのツバメ」が、10月8日からBunkamuraル・シネマで、1週間限定で特別上映されることがわかった。
今年8月、タリバンによるカブール制圧という衝撃のニュースが世界を駆け巡ると同時に、国外退避を試みる多くの市民の混乱する様子が次々に伝えられた。なかでも注目されたのが、女性たちの権利。教育や就労の自由が守られるのか――新政府の動向に厳しい目が向けられるなか、SNSではアフガン出身の女性たちを中心に「#DoNotTouchMyClothes(私の服に手を触れるな)」という投稿が広がっていく。それは、服装の強制をはじめとする女性の基本的人権への様々な抑圧に対し、声を上げ、連帯を求めるものだった。

かつてのタリバン支配下では、全身をすっぽり覆うブルカ(アフガニスタンではチャドリと呼ばれる)を着用しなければ、女性の外出は禁じられていた。特別上映される「カブールのツバメ」は、チャドリに象られる悲劇と自由を渇望するアフガン女性たちの希望を、水彩画のような映像詩でつづっている。チャドリのわずかな網目から見る世界や、かつて自由な服装だった女性がチャドリ姿へと一瞬にして変わる、アニメーションならではの表現が胸を打ち、男性たちの苦悩にも光を当てている。
1998年、タリバン支配下にあるアフガニスタンの首都カブール。厳格なイスラム法が人々の生活に浸透し、巷では理不尽な私的制裁も多く見られるようになっていた。自由を好むズナイラは、自宅で密かに音楽を聴きながら壁に絵を描き、夫モフセンの帰りを待つ日々を送っていた。一方、拘置所の看守アティクは、病気がちな妻ムサラトを看病しながら、長く続く戦争と貧しさに耐え忍んでいた。ある日、ズナイラが慣れないチャドリをまとって外出したことで、2組の夫婦の運命が狂いだす。

原作は、ヤスミナ・カドラ氏の小説「カブールの燕たち」(香川由利子訳/早川書房/2007年)。この著者名はペンネームだ。著者の男性が軍の検閲に悩んでいた際、妻に提案を受けて“彼女の名前で発表した”という経緯がある。
日本では「フランス映画祭2019横浜」で披露されたが、それ以降、劇場上映の機会が得られなかった作品だった。今回は、アンスティチュ・フランセ日本の協力により、上映が実現している。
「カブールのツバメ」は、10月8~14日にBunkamura ル・シネマで特別上映。料金は、一般が1300円、学生・シニア・障がい者が1100円(いずれも税込み)。 特別興行のため、その他各種割引は適用外となる。
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