【「整形水」評論】人間の欲望をえぐり出す美肉ホラー、3DCGアニメならではの秀逸な表現

2021年9月26日 23:00

「整形水」
「整形水」

体にひたすだけで容姿を思いどおりに変えることができる「奇跡の整形水」。怪しげな女性がその使用方法をレクチャーする動画からはじまる導入から引き込まれ、ホラー映画のツボを押さえつつ先の読めないドライブ感もある展開で最後までダレることなく楽しめる。85分というコンパクトな尺も素晴らしく、ホラー・サスペンス映画ファン、変わり種のアニメが好きな方に広くお勧めしたい。

芸能の世界で裏方として働く主人公イェジは、自身のルックスにコンプレックスをもっており、メイクを担当する美人タレントから痛烈な言葉をあびせられて怒りに震える。さらに軽い気持ちで引きうけた通販番組への出演でネットのさらし者になってしまい、絶望のどん底に突き落とされる。字幕版では、豚女、ブサイク、ブスといった直截な言葉がとびかい、登場人物は主人公をふくめ清々しいほど俗物ばかり。自らの欲望に忠実に行動するさまは滑稽かつ恐ろしく、韓国映画はアニメでもここまで容赦なく描くのかというフレッシュな驚きがあった。

整形水を使って美しく生まれ変わる選択をしたイェジは、これまで自分を見下していた男性たちを手玉にとり、利用しつくすことでこれまでの人生に復讐しようとする――ここまではお約束の展開といえるが、そこから物語は心地よく予想外の方向に流れていく。これは永井豪の某名作漫画へのオマージュではないかと快哉の声をあげた終盤の展開は、最近だと「ミッドサマー」で得られた高揚感に近いものがあった。ホラー映画ファンにはご褒美のような最高の“デザート”が最後に待ちうけている。

整形というモチーフと3DCGアニメの相性のよさと、それを実現するためのアイデアにも見るべきものが多くあった。整形水の使用前はリアルなCGモデル、使用後はデフォルメの効いたアニメ的なモデルを用いることでその変貌ぶりが鮮やかに描かれ、CGの違和感を逆手にとった整形失敗の姿はアニメならではの秀逸な表現だと唸らされた。

(五所光太郎)

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