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天才デザイナーが“天才”と呼ばれる理由は? マルタン・マルジェラに迫ったドキュメンタリー監督に聞く

2021年9月18日 11:00

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ライナー・ホルツェマー監督
ライナー・ホルツェマー監督

天才デザイナーと呼ばれながらも、これまで公の場に一切登場せず、あらゆる取材や撮影を断わり続けてきたマルタン・マルジェラに迫ったドキュメンタリー「マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”」が公開された。初公開のドローイングや膨大な量のメモ、幼少時からのプライベートな記録を見せながら、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、エルメスのデザイナーへの就任、そして51歳での突然の引退など、キャリアやクリエイティビティについてマルジェラ本人が語る。ファッションだけでなく、クリエイティブにかかわる人、各種カルチャーが好きな人は必見のドキュメンタリーだ。監督は「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」を手掛けたライナー・ホルツェマー。このほどホルツェマー監督に話を聞いた。

画像2(C)2019 Reiner Holzemer Film RTBF Aminata Productions
――本作はマルタン・マルジェラ本人が自身のキャリアを肉声で語っています。彼はこの映画にどの様なかかわり方をしたのでしょうか?

マルタンの語りは実際の我々の会話を使っています。撮影前にマルタンは何を話すのか、ということを準備したがっていました。例えば初めてのコレクションの話をするときにいくつかエピソードを思い出したり、自分の手に取って見せられるものを準備してくれました。それは良かったのですが、彼は話す内容のテキストも用意して読みたいと言ったんです。しかし、私はそれはあまり良いアイデアではないと思いました。役者であっても読み上げは観客が飽きてしまったり、不自然な場合があるからです。運良く説得することができ、私たちの会話から拾った音声を使っています。1週間に3日間撮影して、翌週は何を話すのかお互いに決めていき、実際に200時間くらい話をしました。

画像3(C)2019 Reiner Holzemer Film RTBF Aminata Productions
――マルタン・マルジェラは天才デザイナーと評されています。本人が表に出ずとも、コレクションを見ればそれは容易にわかることですが、この映画製作で本人とかかわり、やはり彼は天才だと感じたエピソードはありますか?

全て彼自身が新しく発明し、20~30年たってもそのデザインが残っている。それが天才と呼ばれるるゆえんだと思います。彼は今までデザインされたことのないもの、自分が見たことのないデザインを生み出したいと言っていました。それを一人のアーティストが自分に課すのは大きなチャンレンジだと思うのです。プレッシャーもあると思いますし、常に新しいアイディアを出さなければいけない。彼はそれをやってきたわけです。

例えば、私は彼のプリントコレクションが大好きです。元々ユーズドやパリの蚤の市で売られていたような洋服を写真に撮って、布に転写する。そこからデザインを起こし、裁断し、服を作る。そういったアイデアは本当に素晴らしい。今まで誰もやってきていないことをやるのです。彼がファッションに向かう姿勢は、アーティストが新しい絵画に向かう感じと似ているのではないでしょうか。

シャツを脱構築、解体するアイデアもとてもユニーク。このように常に新しいアイデアを持っていることが天才だと思いました。今でこそ地下鉄や工場などいろんな場所でファッションショーが行われますが、それまではルーブル美術館近くの同じ場所で開催されていました。マルタンが最初に別の場所でショーを行いました。そういった視点も独創的なのです。

また、私はファッションの専門家ではありませんが、ファッション業界の人達は、彼は仕立てからすべてのことができると言っていました。今の世代はそういったスキルがなくてもデザイナーを名乗り、洋服をデザインすることができますが、マルタンの世代はすべて自分で作って、これが自分のビジョンだと見せることができたのです。

画像4(C)2019 Reiner Holzemer Film RTBF Aminata Productions
――本作はマルタン・マルジェラのドキュメンタリーではありますが、監督の映画でもあります。クリエイター同士ということで、意見がぶつかるようなことはありませんでしたか? 監督ご自身が譲れなかったことはありましたか?

作品の構成にこだわりました。それが最も重要なことでした。ストーリーをどんなふうに構築していくのか、キャリアをどう見せていくのか。ファイナルカットまでマルタンとディスカッションを重ねました。彼に最初に会った時から、この映画を作るには、マルタンがただ参加するという形では作れない、彼はそれを良しとしないと思っていました。ですから、マルタンを映画製作のチームの一員として、プロデューサーと3人で一緒に作るという形をとっています。

しかし、編集に入ってからはラフカットが全部できるまではマルタンに見せないようにしていました。それは彼にとってフラストレーションだったかもしれません。彼は時系列の展開をイメージしていたようです。しかし、それでは観客は飽きてしまいますし、私もフィルムメイカーとしての評価もかかっています。その点で「映画作りに関しては、僕の方がエキスパートだから」と言わせてもらいました。

彼は説得をしたり、選択をすることに時間を要する人です。休憩でコーヒーを飲みながら話してくれた子ども時代の話題を使いたい、と言ったら、最初は「プライベートな話だから」と渋られましたが、その後私のリクエストを咀嚼してくれ、スケッチやバービー人形を撮影用に提供してくれました。

画像5(C)2019 Reiner Holzemer Film RTBF Aminata Productions
――マルタン・マルジェラブリジット・バルドーが好きだったと語っています。ファッション以外に映画やカルチャーについて、彼はどんな話をされましたか?

映画よりは音楽の話をする方が多かったですね。映画はたくさん見ているようでしたが、具体的なことは忘れてしまいました。しかし、我々の世代のフランス語圏の作品ではやはりゴダールですよね。自分たちのクリエイティビティに影響を与えてくれたと思います。また、マルタンはベルギーの小さな町で16歳まで育っていて、その町以上の世界があるということを知るのに、映画やテレビを見て、そこからインスピレーションを膨らませていたと思います。

面白いエピソードとしては、以前、ローリング・ストーンズの舞台衣装を手掛けている人が、ロスのマルタン・マルジェラの店に、ミック・ジャガーキース・リチャーズのために服を買いたいと来店したけれど、店員が「女性用しかない」と断ったことをマルタンは後から知って怒ったそうです。「ストーンズのためだったら何だって僕はデザインしたのに」と言ったそうです(笑)。ティナ・ターナーでも、同じような話がありました。デビッド・ボウイも敬愛していたようで、いろんな話をしましたね。

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