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【「ライトハウス」評論】孤島の灯台を舞台に、パラノイアと怪異が渦巻く悪夢濃度100%の映像世界

2021年7月11日 13:00

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「ライトハウス」
「ライトハウス」

今どき珍しい35ミリ白黒フィルム、スタンダードサイズのフォーマット。舞台となるのは、19世紀末ニューイングランド沖の孤島に屹立する灯台。そこにやってくる年老いた灯台守と若い助手に扮するのはウィレム・デフォーロバート・パティンソン。そして監督を務めるのは、2015年の魔女ホラー「ウィッチ」で鮮烈な長編デビューを飾ったロバート・エガースだ。もしもあなたが悪夢のようなサイコ・スリラーやダーク・ファンタジーに引きつけられてしまう特異な趣向の持ち主ならば、これほど期待感を煽られる要素が揃った映画は滅多にないだろう。悪夢濃度100%、想像を絶する狂気と怪異が渦巻く映像世界である。

冒頭の憂鬱な空、荒れ狂う海からして不吉な予兆に満ちた本作は、たちまち観る者を灯台という閉所恐怖症的な空間に引き込んでいく。元木こりの新米助手ウィンズローは、サディスティックな暴君のごとき灯台守のウェイクにこき使われ、ありとあらゆる雑用と重労働を強いられる。最悪のブラック職場、最悪のパワハラ上司にめぐり合ってしまったウィンズローを苦しめるのはそれだけではない。まるで怪獣のうめき声のように不快な霧笛の音に神経を逆なでされ、海辺では人魚の幻覚を目の当たりにする。序盤からすでに現実と妄想の境目が曖昧なこの映画は、ウィンズローの心身両面の疲労とストレスが高まるにつれ、この世ならぬ魔界の裂け目を観る者に覗かせていくのだ。

ウィンズローと観客を吸い寄せる裂け目は灯台の最上部にある。ランタンルームと呼ばれる強烈な“光”を発するその場所は、ウェイクが夜な夜な素っ裸で入り浸って淫靡な儀式に耽っている密室だ。そんな秘密の部屋へと通じる螺旋階段のショットは、まさしく“めまい”を誘うヒッチコック映画のよう。さらに、弟のマックス・エガースとの共同で脚本を手がけたR・エガース監督は、幾多の古典文学やギリシャ神話に触発されたセリフやイメージを随所にちりばめ、おどろおどろしいラブクラフト的な魔物をもスクリーンに出現させる。人間が狂っているのか、はたまた灯台そのものが人智を超えた生き物なのか、もはや何が何だかわからない。

異様に技術レベルの高い撮影、編集、美術、音響。わざわざカナダ東部の海辺に架空の灯台を建造し、悪天候のロケに挑んだエガース監督の並々ならぬ細部へのこだわり。そして前作「ウィッチ」で山羊の怪演に絶句した観客は、またしても動物の助演にド肝を抜かれることになる。その動物の理不尽なまでの邪悪さ、しつこさに、観ているこちらの頭まで変になりそうだ。

(高橋諭治)

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