西島秀俊、カンヌ出品作「ドライブ・マイ・カー」は「“真実が映っている”瞬間がたくさんある」
2021年7月4日 15:43

第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された「ドライブ・マイ・カー」の壮行会イベントが7月4日、東京・スペースFS汐留で行われ、主演の西島秀俊、共演の三浦透子、霧島れいか、濱口竜介監督が出席。カンヌ国際映画祭には濱口監督、三浦、霧島が参加することが発表され、日本に留まることになった西島は「観客の皆さんが世界中から来ていると思うので、どういう反応、こんなシーンで笑っていたであるとか、意外な気づきもあるはず。その点をぜひお聞きしたいと思っています」と期待を寄せていた。
村上春樹氏の短編小説集「女のいない男たち」(文春文庫刊)に所収された「ドライブ・マイ・カー」を映画化。舞台俳優であり演出家の家福悠介(西島)は、脚本家の妻・音(霧島)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音はある秘密を残し、突然この世を去る。2年後、広島の演劇祭で演出を任されることになり、真っ赤なサーブで向かった家福は、ある過去を胸に秘める寡黙な専属ドライバー・みさき(三浦)と出会う。行き場のない喪失感に苛まれる家福は、みさきと過ごすなかで、これまで目を背けていたあることに気付かされていく。
濱口監督が、オリジナルの要素を加えながらも、原作の精神を受け継いだ脚本を創出。西島、三浦、霧島の口からは、完成作に対する並々ならぬ思いが語られた。

西島「架空の人物たちが架空の物語を生きているんですが、そこに『真実が映っている』ということを感じる瞬間がたくさんある映画です。スクリーンから見ている側に突き刺さってくる。きっと今の日本で暮らす人々の心の中を描いていて、それは世界の人たちが見たいと思っているもの。一方で、それは世界の人たちも感じている普遍的なものに繋がっている気がします」
三浦「見終わった後に抱いたのは、2時間59分(本編尺:179分)没頭した感覚。その時間分の言葉なり、キャラクターの情報があるからこそ、目も耳もとらわれて離せなくなってしまう。そういう緊張感を味わえました」
霧島「(鑑賞の体感時間が)あっという間過ぎてびっくりしてしまったんですよね。感動と興奮で『すごい映画ができた』と思ったんです。この興奮を監督にも伝えたかったんですけど、感動しすぎて言葉が上手く出てこなかったんです」

西島は、濱口監督の演出を振り返り「ひたすら繰り返される本読み」「(劇中にはない)過去の光景に関してのリハーサル」「質問に対してキャラクターとして答える作業」といった例をあげ「刺激的な体験。別の現場でも、個人的にやってみたい作業というのものを教えていただけました」と告白。すると、三浦は自らの“ドライバー役”と絡めて「本読みの空間というのは、運転をしながら話す空間に近いなと思ったんです。対面して読むわけではなく、それぞれテキストに視線を落としながら、音だけで会話をしている。運転をしている時は、相手の顔を見られるわけではないので、音だけで表情、心の変化を感じる。(本読みの時間が)役作りに直結したんです」と説明した。

濱口監督は「村上春樹氏の反応」について問われると「まだ作品をご覧になってないと思います。試写の案内をお知らせした際『地元の映画館で拝見します』とのことでした。どう感じられるのかは、僕も気にしているところですし、楽しみな部分です。個人的な体験として見たいと仰ってくださったことは、ありがたいことかもしれないなと思っています」と回答。そして、脚本に関しての裏話を語り始めた。
濱口監督「原作と映画を見比べるとわかるのですが、かなりディティールが異なり、他の作品の要素(『シェエラザード』『木野』)を一部取り入れています。映画化の意図、方向性などを記した手紙に対しては、村上さんからの具体的なお答えはなく、ただ『映画化の許可』のみでした」

一方、西島は村上作品の映画化作品について“個人的な思い”を打ち明けた。
西島「高校生の頃から村上さんのファンでしたし、どこかで『自分がこの方(村上氏)の小説の役を演じることがあれば――』と考えていたと思います。そして『トニー滝谷』ではナレーションを担当させていただいているんですが、監督の市川準さんとはそこで初めてご一緒して、次にもう1本ご一緒して、これからもっとご一緒すると思っていた時に(市川監督が)亡くなられた。自分の中でも、そのことが“個人的な体験”として残っています。だから今回のお話を頂いた時に『この役だけはどうしてもやりたい』という思いがありました」
「ドライブ・マイ・カー」は、8月20日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
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