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柴咲コウ、「クルエラ」に自身の経験重ねる 20年以上前は「アンバランスさがあった」

2021年6月3日 10:00

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「クルエラ」について語った柴咲コウ
「クルエラ」について語った柴咲コウ
スタイリスト:stylist Kei Shibata (tsujimanagement)、衣装:Shiatzy△Chen

ディズニーが「101匹わんちゃん」に登場するヴィランの誕生秘話を映画化した「クルエラ」が、5月27日から劇場公開、28日からDisney+プレミア アクセスで配信された。パンクムーブメントが吹き荒れる70年代のロンドンを舞台に、ファッション・デザイナーを夢見る少女が、悪名高きヴィランへと変貌していくさまを描く。クルエラの日本版声優を務めた柴咲コウが、本作の魅力や、反骨精神あふれるクルエラへの共感を語った。(取材・文/編集部、写真/山口真由子)

親を亡くした少女エステラ(エマ・ストーン)は、反骨精神と独創的な才能を生かし、ファッション・デザイナーになることを決意。ロンドンで最も有名な百貨店リバティに潜り込む。そんなある日、伝説的なカリスマ・デザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)との出会いによって、エステラはファッショナブルで破壊的かつ復讐心に満ちた“クルエラ”の姿へ染まっていく。

画像2(C)2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
――以前アニメの声優はされていましたが、実写映画の声優は本作で初挑戦されました。声で演じる際はどんなことを意識されていますか?

まだ声優に慣れていないなかでの実写の吹き替えだったので、シーンごとにかなり綿密に指導していただきながら進めていきました。幼少期に吹き替えで洋画を見ていた感覚を頼りにしましたが、思っている倍のエネルギーと抑揚をつけないとマッチしないんだなと思いました。

私はこれくらいだろうと思っていても、「もう少し深い感情を」と指導していただいて、一回自分の声を聞いてみると全然足りていないんだと納得しました。それから抑揚を増したり、息を吸う量を増やしたり、バランスを見ながら進めていきました。

――苦労されたシーンはありますか?

アクションのシーンは、吹き替えをする私はマイクの前で表現しているので、動きのある声を表現することが難しかったです。ソファーに座ってしゃべっている声は表現しやすかったりするのですが、アクションでは心の中で暴れまくって、マイクの前では立っていないといけないバランスが大変でした。

――もともとクルエラにはどんな印象を抱いていましたか?

アニメーションの「101匹わんちゃん」や実写の「101」を見ていたので、存在は知っていました。今回はクルエラの過去を描いているので、だいぶ印象が違います。若い時の方が一生懸命ですよね。何に対しても必死ですし、完成されたクルエラ像もあるけれど、それはそれとして。自分の人生においても20年前と今では全然違いますし。

20年前だったら、真面目過ぎて必死になってしまうところもあるのですが、何十年も経つとそれでいいかっていう余裕ができて、ああいうキャラクターができてきたんだと思います。クルエラは自己演出が上手な人だと思いますが、今回はそこに至るまでの年代が描かれるので、正解があるからそこに近づけようという感じではなかったです。

画像3(C)2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
――日本版エンドソング「コール・ミー・クルエラ」の歌唱も担当されました。

実写の吹き替えもそうですが、エンドロールで流れる音楽は本家があるものなので、そこから逸脱しないようにという思いはありつつ、日本語にすると印象が全然変わってきます。特に、歌は英語だったら滑らかに音楽と調和するのに、日本語だと目立つところもあるので、そのバランスを考えました。音程が決まっているなかで抑揚をつけるのは、勉強になりました。セリフパートもありますし、素の自分ではなく、クルエラを引きずって俯瞰で見ているような気持ちで歌いました。

――声優を担当されると発表された際、柴咲さんは本作で描かれるクルエラの反骨精神について、「20年以上前の自分を掘り起こすような感覚」とコメントされていました。クルエラを見て、重ね合わせるようなご自身の経験はありますか。

やりたいこととできることのギャップもあるなかで、目指そうとする力は必要だと思って、そういうアンバランスさが当時はあったんだと思います。好きなものに対しては没頭できますが、それとは違ってついてくるものもあります。こういう取材もそうですが、お芝居をやっている人が語らないといけないというのは、難しいことだと思います。自己評価をしながら共有して、拡散していかないといけないです。そのなかでお芝居以外のお仕事もあると、本職と離れていくような、でも作品は見てもらいたいという葛藤があって、若い頃はそういう居心地の悪さが顔に表れていたと思います。

25歳くらいに自分を顧みたとき、そういうのが落ち着いてきました。映画やドラマもいろいろな人が携わっていないとできないものだと、若い頃よりはわかってきています。自分自身が作る側に回ると本当に大変だなと思いますし、裏方の苦労がわかるようになってきたので、当時のそういうことも理解ができます。当事者にならないとわからない部分もありましたが、この20年いろんな人付き合いを経験して見えてきた部分だと思います。

画像4(C)2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
――柴咲さんが考えるディズニー映画の魅力とは?

学ぼうというよりは、楽しくワクワク見られます。「クルエラ」は特にそうで、かわいいわんちゃんも出ているので、お子さんにも見てもらいたいです。わんちゃんは本当にかわいくて、特にウィンクがネズミのふりをするシーンがもう本当に「ずるい!」ってなりました(笑)。そういう楽しく見られる部分と、一人の人間としてどう生きるのかというヒントや勇気をもらえる作品だと実感しました。

ディズニー作品のファンの方には待望の作品だと思いますし、そうでない方にも魅力的なキャラクターの作品になっていると思います。ストーリーが二重にも三重にも絡み合って展開していくので、一つの物語としてもとても楽しめる作品です。

クルエラ」は5月27日から劇場公開中、Disney+プレミア アクセス(※追加支払いが必要)でも配信中。

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