【ホラー映画コラム】「ゾンビーバー」出オチ枠と思ったら大間違い、非常に丁寧に作り込まれた、マジの映画!
2021年5月29日 21:00

Twitterのホラー界隈で知らぬ者はいない人間食べ食べカエル氏(@TABECHAUYO)によるホラー映画コラム「人間食べ食べカエル テラー小屋」では、“人喰いツイッタラー”が、ホラー映画専門の動画配信サービス「OSOREZONE」の配信中のオススメ作品を厳選し、その見どころを語り尽くす! 今回は、食べ食べさんが、「正直舐めていた。だが本編を観たら、驚くべきことにちゃんと面白いのだ」と熱く語る「ゾンビーバー」をご紹介。
一台のトラックが田舎道を走行中に積み荷の汚染物質を落としてしまい、それによって付近に生息していたビーバーがゾンビ化! ゾンビーバーとなってしまう! そして、何も知らずに現場近くの別荘を訪れたメアリー、ゾーイ、ジェンの女子3人組を容赦なく襲い始める!!
(C)2014 ZOMBEAVERS, LLC. All Rights Reserved齧歯類ならぬ齧”死”類! ビーバーが狂暴なゾンビとなって人間を襲う!! なんとばかばかしい映画だろうか。そもそも一体なんでビーバーをゾンビ化しようと思ったのか?鑑賞前はそんなことばかり思っていて、正直この映画を舐めていた。だが本編を観たら、これが驚くべきことにちゃんと面白いのだ!
まず何といっても、ビーバーがゾンビ化するという設定が素晴らしい。観る前は「なんでビーバー?」と疑問しかなかったが、まさかこんなにゾンビ化設定がハマる生物だとは……。ゾンビーバーは凶悪極まりなく、下手すれば普通のゾンビよりも厄介だが、見た目が愛嬌抜群で思わずホンワカしてしまう。惨劇とその見た目のギャップにより、独特の味わいを生み出すことに成功している。
(C)2014 ZOMBEAVERS, LLC. All Rights Reservedまた、齧歯類の習性を丁寧に描写し、しっかりとそれが脅威として描かれている点も評価したい。奴らは、その大きな前歯で木を噛み砕く事すら出来るのが特徴だ。これが本作では非常に厄介な要素となる。例えば、若者たちが湖に浮かぶ木製のいかだに乗って避難しても、奴らはその前歯で木を突き破って上に登ってくるし、家に立てこもって木のバリケードで窓をふさいでも、やっぱり前歯で突き破ってくる。人間側が、ゾンビ映画の王道展開である籠城戦を仕掛けても、ゾンビーバーはいとも簡単に突き破ってきてしまうのだ。ビーバーの凶暴性を活かした容赦ないパニック展開に、いつの間にか手に汗を握っている。設定こそくだらないが、1本のホラーパニック作品として非常に良く作り込まれている事が本編を観るとよく分かる。作り手の、ただのネタ映画にしないという気概がヒシヒシと伝わってくる。これこそが、本作がいまだに多くのホラーファンに評価されている最も大きな要因である。
肝心のゾンビーバーにも、勿論一切の手抜きはない。奴らはCGではなくアニマトロニクスを駆使して描かれているのだが、これがとてもよく出来ているのだ。見た目はかなり精巧で、中でも、上半身と下半身が割れて内臓が飛び出しながら暴れるゾンビーバーは本当に素晴らしい。人間との絡みのシーンで、デカい尻尾をビタンビタンとのたうち回らせながら暴れる様が迫力満点だ。ホラー好きな人なら知っているかもしれないが、このハイクオリティなゾンビーバーのアニマトロニクスを担当したのは、日本人の特殊メイクアップアーティストである田中好さん。全部で7体ものゾンビーバーを作ったそうだが、最も大きいサイズのやつは目や耳や鼻がラジコンで操作できるとの事。そのおかげで、人間を襲う際の顔のアップでも生物感を損なわない細やかな動きが実現できるようになっているのだ。ここにも一級の技術が盛り込まれている。やはり本作は単なるネタ映画ではない。何度も繰り返すが、物凄く作り込まれた本気の映画である。
(C)2014 ZOMBEAVERS, LLC. All Rights Reservedゾンビーバーだけでもお腹いっぱいだが、それに加えてゾンビーバーに噛まれた人間がゾンビーバーゾンビに変身する展開まで盛り込む過剰なサービス精神も評価したい。前歯が突き出た感染者たちの姿は、ユーモラスなのかおぞましいのか、とにかく形容しがたい凄まじいデザイン。後半になるとあっちでゾンビーバー、こっちでゾンビーバーゾンビの大騒ぎ! 80分弱という短い尺に、ここまで見せ場をブッ込んでくれる製作者たちに頭が上がらない。そしてクライマックスには何とゾンビーバー化した〇〇まで!! やったね、これが映画だよ。
Twitterでもよくネタにされているため、未見の方でもなんとなくその名前くらいは知っているかもしれない。繰り返しになってしまうが、あまりにばかばかしい設定なので、出オチ枠とか単にふざけただけの映画と思っている方もいるだろう。でも実は違うんです! 非常に丁寧に作り込まれた、マジの映画なんです! こういう作品がもっともっと増えてくれると嬉しいなあ。ちなみに本作のメガホンをとったジョーダン・ルービン監督が次に撮ったのは、落雷を受けた衝撃で殺人鬼の精神がインストールされてしまった殺人ドローンが人を襲う「ドローン」というガジェットスラッシャーホラー。ブレないですね。一生こういう映画を撮っていてほしい。
(C)2014 ZOMBEAVERS, LLC. All Rights Reserved関連ニュース
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