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10代の少年たちによる“模擬選挙”に密着! 「ボーイズ・ステイト」監督陣が舞台裏を明かす

2021年3月3日 13:00

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サンダンス映画祭(2020年)USドキュメンタリー・コンペティション部門グランプリを獲得した「ボーイズ・ステイト」(Apple TV+で配信中)。バラク・オバマ前米大統領が2020年のお気に入り作品にも選出した本作は、学生たちによる“模擬選挙”の様子を活写した作品だ。このほど、監督を務めたジェシー・モス、アマンダ・マクベインが単独インタビューに応じてくれた。(取材・文/細木信宏 Nobuhiro Hosoki)

ボーイズ・ステイト”とは、米国在郷軍人会が主催するイベントのこと。参加するのは、テキサス州全土から集まった1100人以上の男子高校生。生徒たちは連邦党と国民党に分けられ「知事を選ぶ」という模擬選挙を体験していく。劇中では、弁が立つ黒人・レネ、腕と足に障害を抱えるベン、お調子者の白人・ロバート、メキシコ移民の親を持つスマートなスティーブンらを中心にストーリーが展開。「不都合な真実」のデイビス・グッゲンハイムが製作総指揮を務めている。

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1935年から始まった“ボーイズ・ステイト”。なぜドキュメンタリー映画としてとらえることになったのだろうか。

モス監督「このプログラムには、元米大統領のビル・クリントン、元米副大統領のディック・チェイニーが過去に参加していました。毎年多くの秀才たちが集まる1週間のイベントなんです。今回のプロジェクトに着手したのは、3年前のこと(=トランプ大統領政権下)。その時、異なる政治思想を持つ若者が集まるイベントで、それぞれの共通点を見出すことができるか模索したかったんです」

女性を対象とした“ガールズ・ステイト”も存在するが、本作では男子生徒にフォーカスを当てている。

マクベイン監督「このプログラムについては、17年にワシントン・ポストの記事で初めて知りました。そこには、テキサス州の分離運動(人種的不和によって起きている運動)と、その分離運動を題材にした議論が、この“ボーイズ・ステイト”でも行われていたことが記されていました。“ボーイズ・ステイト”では、分離運動への賛成が可決――80年以上もの歴史を持つ“ボーイズ・ステイト”とっては、それが異例の出来事だったことも記されていました。その出来事がきっかけで、18年の“ボーイズ・ステイト”にカメラを向けることになったんです。もっとも我々は“ガールズ・ステイト”を、今夏に撮影する予定です。ただテキサス州ではない別の州で撮影すると思います」

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参加者は1100人以上という大人数。撮影の進め方について問いかけると、モス監督は「僕は、彼らをある意味、映画スターのようにとらえていました」という。「彼らは賢いけれど、複雑で、傷つきやすくもある。プログラムにかける思いも強く、それが(撮影していた)我々も気に入っているところです」と明かす。

モス監督「彼らは党を結成し、知事に立候補する。少年たちは決して、端っこに座っている傍観者ではない。彼らはこのプログラムの過程に身を投じ、我々を驚かせてくれたように、自分自身の能力にも驚かされていました。ヒューストンの貧しい家からやってきたスティーブン、足と腕に障害を抱えるベン、それぞれが(プログラムを通じて)“自分の声”を見つけようとしている。このプログラムには、保守的な白人のティーンエイジャーが多いんですが、彼らは試されることで“善の部分”が引き出されていきます。さらに、このプログラムに選ばれた少年たちはかなり聡明で、野心家。しかし、短期間で変わってしまうような脆弱さも有していました」

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「これほど多くの若者が一堂に会すると、とてつもないエネルギーが流れている感じがします。だから、どのように(生徒の)混乱から秩序を保つことができるのか、いかに腰を据えて彼らを見るかについて考えました」というモス監督。撮影するなかで「徐々に中心人物が見え、彼らの政治、その問題について真剣な議論を聞くことになった」と話す。

モス監督「その中で、有色人種の進歩的な政治をしながら、生徒が権力を得ること自体に興味を持たずに、誰もが受け入れられるとは思わない方法で人々の信頼を得たのがスティーブンでした。それが最も驚かされたことです。それに、最初に些細な議論をしていた生徒たちが、週末にはテキサス州で最も議論の的になっている銃規制の妥協点について語り合っていました。若者が民主主義を信じることによって“何かができる”と思えるようになる。このことは、きっと大人にだってできるはずだと考えさせられました」

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さらに、モス監督はベンについて言及する。「彼は素晴らしくもあり、複雑な少年でもあります。若き日のカール・ローブ(ジョージ・W・ブッシュ政権において次席補佐官)のような戦術家で、二肢切断者でもある。逆境からすぐ立ち直り、精神的な強さもあって、様々な困難と闘ってきました。カリスマ性もあるけども、彼自身が認めている“汚いトリックを使ったポップ政治”(ソーシャルメディアを通して人や機関を批判することに頼った戦略)に依存しているところが複雑です」と説明する。

モス監督「レネが『彼は素晴らしい政治家。でも、褒め言葉としては言っていない』と語るほど、ベンは政治家がどういうものかを把握しています。その戦術の基本は、どんな犠牲を払ったとしても、勝つために行うというもの。ベンには道徳的な気持ち悪さはありません。しかし映画が進むにつれ、率直に好感を抱く部分がある一方で、複雑な人物でもあることに気づかされるんです」

マクベイン監督「本作の撮影から2年が経過しました。今、アメリカの状況はかなり変わってきています。我々はベンが愛国者だと信じていますし、民主主義が脆弱であることも認識しています。だからこそ、ベンの戦術がとても有害であることも理解できました」

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2020年の米大統領選は、若者の参加が結果を大きく左右させた。より多くの若者が政治に関わっている現代、この映画は“教材”のひとつと言ってもいいのかもしれない。

モス監督「ここ数カ月、アメリカ国内の大学生たちと深い会話をすることができ、彼らの世代における『政治にどれほどの時間を割いているのか、活性化されているのか』を再認識しました。彼らは、銃規制、気候変動の危機などを通して、リーダーシップの衰退を見てきました。特に二極化したワシントンでの政治を見て、争いだけが起こり、他には何も生じていないことに気付いている。この映画は、そんな彼らに健康的な民主主義の表現方法を提供しています」

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