大人になった私たちに「おジャ魔女どれみ」が教えてくれたこと―森川葵×松井玲奈×百田夏菜子が見つけた新たな“魔法”
2020年11月14日 10:00
「おジャ魔女どれみ」シリーズは、1999年からテレビアニメとして放送され、2019年に20周年を迎えた。あの頃、夢中でテレビにかじりつき、魔法を信じていた子どもたちも、今ではもう大人になっている。メモリアルイヤーに始動したファン待望の新たな劇場アニメ「魔女見習いをさがして」は、主人公・春風どれみと仲間たちに憧れ続けた“私たちの物語”。本作で「おジャ魔女どれみ」の大ファンであり、人生に悩むヒロインの声を務めた森川葵、松井玲奈、百田夏菜子に話を聞いた。(取材・文/編集部、写真/板橋淳一)
MAHO堂の女主人・マジョリカの正体を見破り、カエルに変えてしまった責任を取るため魔女見習いとなった少女たちの修業の日々を描いた「おジャ魔女どれみ」。佐藤順一監督をはじめ、オリジナルスタッフが再集結した劇場版の軸となるのは、長瀬ソラ、吉月ミレ、川谷レイカという3人の女性だ。年齢も性格も住んでいる場所も、何もかもが異なる3人は、大好きな「おジャ魔女」に導かれるように運命の出会いを果たし、作品ゆかりの地を旅していく。森川が教員志望でありながらも自信をなくして進路に迷う大学生・ソラ、松井が職場になじめず葛藤する帰国子女の会社員・ミレ、百田が絵画修復士という夢はあるが、ダメ彼氏に振り回され夢に向かって進めないでいるフリーター・レイカを演じた。
物語はMAHO堂のモデルとなった鎌倉の洋館に始まり、どれみのおじいちゃんの家があったという岐阜と飛騨高山・白川郷、どれみが修学旅行で訪れた京都と奈良など、「おジャ魔女」の軌跡をたどる“聖地巡礼”が描かれていく。そしてロケーションだけではなく、ソラ&ミレ&レイカによるファントーク、テレビシリーズと同じ主題歌「おジャ魔女カーニバル!!」、「魔法玉」「マジカルステージ」や呪文の言葉なども登場し、長年のファンのノスタルジーをくすぐる仕掛けが随所にちりばめられている。一気に、テレビアニメを見ていた当時に時間が戻っていくような、不思議な感覚に包まれていく――。シリーズの熱烈なファンだという森川&松井&百田に、「おジャ魔女どれみ」とともにあった子ども時代を振り返ってもらった。
森川「ももこちゃん(魔女見習いのひとり、帰国子女の飛鳥ももこ)が来てからのパートで、英語をすごく話すじゃないですか。私はまだ小さかったから、英語というもの自体を理解できていなかったんですが、真似したくて、友達と“英語風のそれっぽい言葉”をしゃべっていました(笑)。特別な言葉に聞こえていたんだと思います。子どもはもちろん、大人になって見返しても素敵なエピソードが多くて。涙なしには見られないパートもあるから、ずっと心の中に『おジャ魔女』が残り続けているんだと思います」
松井「私もあいこちゃん(妹尾あいこ)が話す大阪弁への憧れがあって、一人称を『私』じゃなく『うち』にしたりして(笑)。本当に夢中で『あいこちゃんになりたい』と思っていました。『おジャ魔女』の魅力は、キャラクターがそれぞれぶち当たった壁や、喜びを共有し合うことで、一つ一つ大人になっていくところ。見ている子どもたちと一緒に、いろんなことを経験して前に進んでいくという積み重ねがあって、子どもの成長がとてもよく描かれていると思います」
百田「見ていた当時の思い出は、幼稚園の友達と毎日やっていた『どれみちゃんごっこ』。『今日は誰がどの役をやるか』というところから休み時間がスタートしていました。小学1年生になった時には、サンタさんのプレゼントで、『おジャ魔女どれみ』のピンクの一輪車を買ってもらいました。すごく嬉しくて必死に練習して、毎日その一輪車と一緒に遊んでいましたね」
見どころは、「おジャ魔女」のどれみ&&はづき&あいこを彷ふつとさせるかのような、ヒロイン3人による賑やかでテンポの良い会話。出会ってから徐々に距離を縮め、いつしかお互いがかけがえのない存在になっていくさまが伝わってくる。キャラクターと同じく、「おジャ魔女」を通してめぐり会った森川&松井&百田。オファーが来た際には喜びとともに、作品愛が強すぎるあまり不安もあったという。何度も本読みを重ねた末に挑んだアフレコは、どのような雰囲気だったのだろうか。
森川「最初に3人で読み合わせをするとき、佐藤監督が『皆さんのどこかに、それぞれのキャラクターがいるなと思ってお願いしているので、なりきってください』と言われたんです。その言葉のおかげで、振り切ることができました。佐藤監督がすごく優しくて、何度も読み合わせをしながら、細かく指導して下さったんです。通常は『もっと(芝居を)大きくして、小さくして』という指示しか出さないそうなんです。でも、私たちが普段はそういう形でお芝居をしていないだろうということで、『もっと感情で言った方が分かりやすいかな』など、すごく親身になって寄り添ってくださいました。挑戦して良かったなと思っています」
松井「メインキャストがお互いの芝居や呼吸を感じながら収録できるのは楽しいし、皆が集まっているからこそ出る空気があるんだなと思いました。収録前、準備はしていても『本当にちゃんとできるだろうか』と怖かったんですが、3人で一緒にテイクを重ねるごとに、すごくキャラクターが馴染んでいって。まだ色がついていない絵でも、声が入ることによって何となくカラフルに見えてくるような。収録していて、声によって色彩が足されていく感じが、とても楽しかったです」
百田「作品の中でも、徐々に相手のことを知っていって、仲良くなることで、会話のテンポ感やテンションが変わっていったりするんですが、実際の私たちも似ている部分がたくさんありました。お仕事をするのは(お互いに)『初めまして』で、探り合いながら一緒に作っていく雰囲気が、作品ともリンクして、良い感じで出ているといいなあと思いました」
「おジャ魔女」は胸躍る魔法の世界を見せるだけではなく、リアルなキャラクター設定や豊かなストーリー性で、子どもたちが抱える悩みに寄り添ってきた。本作でも、元気でほほ笑ましい会話の中で時折、もう子どもではいられない“今”を生きる、大人になったソラ&ミレ&レイカの苦悩が顔をのぞかせる。「人生につまずいたワケあり女子」であるキャラクターたちに、共感できる部分はあったのだろうか。
森川「私は15歳からずっとこのお仕事をしているんですが、『本当に続けていっていいのか』と、ふとした瞬間に迷うことがあるんです。ソラもまだ勉強している最中だけど、『本当にこの仕事は、自分がやりたくて選んだものなのかな』と悩んでいる。それで教育実習に行ってみたら、子どもとの距離がうまくとれなくて落ちこんで、全部がマイナスに働いてしまう。私もそういう部分に共感して、自分の仕事を見つめ直すきっかけにもなりましたし、『やっぱり好きだから、この仕事をやりたい』と気付くことができました」
松井「大人になると、子どもの頃に悩んでいたこととはまた違うベクトルの悩みごとが生まれていくんだなと感じていて。この作品は、子どもの頃はどうやって悩みを解決していたのか、思い出させてくれました。大人になるといろんなことを知ってしまうので、考え方が凝り固まって、がんじがらめになって動けなくなってしまう。でも、周りの人が助けてくれることに気付いたり、もう自分の中に答えがあったり、『自分を信じること』が1番の力になったり……『魔女見習いをさがして』は、そういうことを教えてくれる、今モヤモヤした悩みがある人の背中を押してくれる前向きな作品になっていると思います」
百田「『誰もがそういう経験あるよね』という、どこか共感できるような悩みがピックアップされています。(自粛期間中などで)自分を見つめ直す時間を過ごした方も多いと思います。たまたまですが、そういう時期を経験した今、私がこの作品を見ると、もしかしたら違うことを感じるかもしれない。人生について、ヒントをくれるような作品になっていると思います」
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