地球人よ、さらば。土星からの使者、超現実的宇宙音楽王サン・ラーによるSFが公開
2020年11月4日 17:00

超現実的宇宙音楽の創造者で、太陽神の姿で出現した土星からの使者と自称する、音楽家のサン・ラーが脚本、音楽、主演をつとめたSF映画「サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス」が2021年1月29日に公開される。
1960年代後半から70年代初頭にかけて、カリフォルニア大学バークレー校で「宇宙の黒人」という講義を行っていたサン・ラーの存在が、サンフランシスコでアバンギャルド・アートを展開していた「DILEXI」のプロデューサー、ジム・ニューマンの目に留まり実現した、革新的・暗黒SF映画。サン・ラーの音楽を、地球を超えた新しい未来へ人々を導く原動力とし、宇宙探査とその音楽を通して黒人文化の救済を描く。
1969年頃に地球から姿を消していた大宇宙議会・銀河間領域の大使サン・ラーは音楽を燃料に大宇宙を航行するなか、遂に地球と異なる理想の惑星を発見した。さっそく地球に戻り、ジャズのソウル・パワーによる同位体瞬間移動で米国にいる黒人のブラザーたちの移送計画を立てるが、その技術を盗もうとアメリカ航空宇宙局(NASA)の魔の手が迫る。
(C)A North American Star System Production / Rapid Eye Movies SUNRA.JPミュージカル、SFオペラ、社会評論の要素を組み合わせた本作を、一部にはクエンティン・タランティーノ等に影響を与えたブラックスプロイテーション映画群の重要作と呼ぶ人もいるが、本作はジャンルの慣習に準拠せず、むしろ、サン・ラーの鋭い精神状態を視覚的に表したもので、音楽が当時の政治的希望、つまり人種的抑圧からの解放を反映した銀河間の兵器として使われる。
この度上映されるのは地球上に残されていた唯一の35ミリプリントからスキャン、史上初めてオリジナルの画面サイズであるスタンダードサイズ(1:1.33)で作られたデジタル素材。フィルムの状態を最大限再現するため、一切レストアはされていないオリジナルの81分のバージョンで上映される。
1993年に地球を去ったサン・ラーは「地球は音楽なしでは動けない。地球は一定のリズム、サウンド、旋律で動く。音楽が止まれば、地球も止まり、地球上にあるものはすべて死ぬ」とコメントを残している。
2021年1月29日から、アップリンク吉祥寺、新宿シネマカリテほかで公開。
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